ハクトウワシ(読み)はくとうわし(英語表記)bald eagle

翻訳|bald eagle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハクトウワシ」の意味・わかりやすい解説

ハクトウワシ
Haliaeetus leucocephalus; bald eagle

タカ目タカ科。1782年からアメリカ合衆国国鳥全長 70~102cmで,雌の方がかなり大きい。成鳥は胴体部が黒褐色で,頭頸部と尾羽が白く,と裸出した眼先,脚は黄色。若鳥は全体に黒褐色で,成鳥羽になるのに孵化してから 4~5年かかる。メキシコ北部までの北アメリカで繁殖する。アラスカ半島カナダ,アメリカ東北部では夏鳥(→渡り鳥)で,越冬には繁殖地の南部へ渡る。南部で繁殖するものは留鳥。海や湖,河川など水域に近い所にすみ,高木の上に枯れ枝を積んで大きな巣をつくる。おもに魚食性だが,哺乳類や鳥,海獣の子をとるほか,ミサゴのとった魚を奪うこともある。20世紀中期には,殺虫剤DDTの影響による繁殖率の低下や狩猟などが原因で,絶滅の縁に立たされるほど減少した。その後 DDTが使用禁止になり,保護もはかられた結果,20世紀後半には生息数を回復した。(→ワシ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハクトウワシ」の意味・わかりやすい解説

ハクトウワシ
はくとうわし / 白頭鷲
bald eagle
[学] Haliaeetus leucocephalus

鳥綱タカ目タカ科の鳥。アラスカ、カナダ北西部、アメリカ合衆国の東部に分布する。全長約80センチメートル、翼開張2メートルを超える。幼鳥は全身褐色であるが、成長すると頭部と尾が白色に変わる。海岸湖沼、広い川の付近にすみ、主食は魚であるが、鳥や獣もとらえる。また魚を主食とするミサゴがとらえた獲物を、後ろから横取りすることもある。大きな羽ばたきと滑翔(かっしょう)を交えて悠々と飛び、羽ばたかないで輪を描いて飛ぶことも多い。近年は、主食の魚が農薬などに汚染され、それを食べることによって繁殖率が低下して、数の減少が心配されている。1782年、アメリカ合衆国のシンボルに制定された。

高野伸二


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