ビヤホール(その他表記)beer hall

翻訳|beer hall

デジタル大辞泉 「ビヤホール」の意味・読み・例文・類語

ビヤ‐ホール(beer hall)

《「ビアホール」とも》生ビールを飲ませることを主とする飲食店日本では、明治32年(1899)東京京橋で開店したのが始め。 夏》
[類語]酒場飲み屋割烹縄暖簾居酒屋ビヤガーデンパブスナッククラブキャバレーバーレストラン料亭料理屋食堂飲食店飯屋喫茶店菜館飯店茶房茶店割烹店パーラーグリルカフェテリア

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精選版 日本国語大辞典 「ビヤホール」の意味・読み・例文・類語

ビヤ‐ホール

  1. 〘 名詞 〙 ( [アメリカ] beer hall ) ビール、特に生ビールを専門に飲ませる店。簡単な酒肴や、料理も供する。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「銀座通新橋際に、飲麦酒店(ビヤホール)あらはれたり」(出典:風俗画報‐一九六号(1899)漫録)

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改訂新版 世界大百科事典 「ビヤホール」の意味・わかりやすい解説

ビヤホール
beer hall
Bierhalle[ドイツ]

ビールを中心に,飲食を提供する店。イギリスにおける〈ビール・ハウスbeer house〉は,いわゆるパブのうちで,1830年のビール法によるビール販売の自由化で出現したビールのみを供する店を指す。13世紀にすでに酒食を供するタバーンがあったが,エールやビールと食事を出すエール・ハウス,ビール・ハウスは都市化の産物であった。いずれにしても上流階級飲物であるワインに対して,庶民の安直な飲物であった。

 ドイツでもビールは元来家庭の飲物で,上流階級はワイン酒場にしか行かなかった。大きな変化が生じたのは19世紀になってからで,大醸造業者経営の壮大なビール・レストラン(ビーアハレ,ビヤホール)が出現し,バイエルン風のいわゆるミュンヘン・ビールが北ドイツにも普及した。〈十月祭〉というビール祭りが名物となっているミュンヘンには,伝説的に有名なホーフブロイハウスHofbräuhausや世界一客席の多いマテーザー・ビーアシュタットがある。公園や郊外にもビヤガーデンが出現し,ドイツは昔ながらの居酒屋スタイルをしのぐビヤホール時代に入った。同時にそうしたビヤホールはさまざまな常連のたむろする場所として,政治的・社会的な会合の場所ともなった。ホーフブロイハウスがナチス集会所となったのは有名である。ビヤホールの別室が各派の作戦本部ともなった。

 日本では1899年東京新橋に,喫茶店よりも早くビヤホールが出現し,東京の銀座ビヤホールなどはのちのカフェの役割を果たしたが,政治的な役割はなかった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビヤホール」の意味・わかりやすい解説

ビヤホール
びやほーる
beer hall

生ビールと主として洋風の料理を供する大衆的飲食店。歴史は古く、紀元前18世紀、古代バビロニアのハムラビ法典に、代金を銀で受け取ったビール酒場の女は罰せられるなどの条項がある。ドイツ・ミュンヘンのビヤハウスは16世紀にさかのぼる歴史をもつ。日本のビヤホールの始まりは、アメリカ人ウィリアム・コープランドWilliam Copeland(1832―1902)が1879年(明治12)ごろ横浜・山手に開いた外国船員対象のビヤガーデン、95年4月大阪麦酒(ビール)と丸三ビールが京都の内国勧業博覧会会場に設けた茶店、同年夏大阪麦酒が大阪・中之島で開催したビール会など諸説があるが、一般には99年8月4日、日本麦酒が東京市京橋区南金六町五(現在の銀座八丁目9)に開店した恵比寿(えびす)ビヤホールとされる。売価は大コップ(1リットル)20銭、中コップ(半リットル)10銭、小コップ(4分の1リットル)5銭で大繁盛した。

 ビヤホールは和製英語で、開店直前、あるイギリス人の提案で、ビヤルーム、ビヤバー、ビヤサロンなどの候補を抑えて決まったといい、ミルクホール、正宗(まさむね)ホール、金つばホールなど類似呼称が流行した。このあと各社が相次いでビヤホールを開設、第二次世界大戦の一時期を除いて隆盛が続いている。また夏だけビル屋上などを利用するビヤガーデンは、1953年(昭和28)大阪で生まれ、全国に広がったといわれる。

[森脇逸男]

『稲垣真美著『日本のビール』(中公新書)』

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