食物を調理すること。割烹と料理はほぼ同じ意に用いられているが、割烹は日本古代の文献に出ていることばで、中国から伝わったもの。割烹の割と烹は、一字ずつ別の意味をもっている。割は「サク」と訓じ、食品材料を下ごしらえまたは食べよくするだけの処理をして、なまのまま食べられる料理をいう。烹は加熱して味つけしたものをいう。日本料理では、刺身、洗い、酢の物、塩辛、練りうに、このわたなど、なまのまま用いる料理と、焼き物、煮物、蒸し物など加熱した料理がいっしょになったものを割烹というのである。割烹ということばは『日本書紀』では「ナマスツクル」と読んでおり、また、割鮮ということばも用いられ「アザラケキヲサク」と読んでいる。明治・大正の時代には割烹店という名称が多く使われ、割烹学校の名も出ている。割烹着は女性用のものをいい、男性用は割烹服という。現在、割烹ということばは、烹の字が常用漢字にないせいか、料理に比べて使用度が低くなっている。
[多田鉄之助]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…料理は神や祖先への供物として祭祀に占める役割は非常に大きかったのである。 《周礼(しゆらい)》天官に〈割烹〉の語がみえるが,各種材料を切り,煮合わせる意で料理を指す。この語からもわかるように後世の中国料理がもっとも得意とする〈炒〉の技法はまだない。…
…以下,この項では中国,日本,ヨーロッパに分けて,料理人の職掌やその歴史などについて略述する。料理
[中国]
肉を割きこれを烹(に)る意味から引伸した割烹(かつぽう)の語は,料理を意味する例として烹飪(ほうじん)の語とともに先秦の文献にすでに使われている。料理人などにあたる中国語で現代もっとも一般的なのは,厨師(ちゆうし)または厨子である。…
※「割烹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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