酸化鉱物、無水二酸化ケイ素の鉱物の一つ。ルーテサイトlutecite、あるいはルーテシンlutecineともいう。石英とほとんど同一の原子配列をもち、玉髄(ぎょくずい)質石英の一部をなす。二酸化ケイ素の変態の一つ。1892年lutecineの名前でフランスのミシェル・レビAuguste Michel-Lévy(1844―1911)らによって報告され、玉髄質石英の大部分をなすものが、実際には石英ではなく、これときわめて類似する別種であるとされた。その相違点は、通常の石英がc軸方向に伸びるのに対し、lutecineではこれに垂直に伸びることにある。
1984年、これとは独立にドイツのフレルケOtto Wilhelm Flörke(1926― )らが、カナリア諸島グラン・カナリアGran Canaria産の流紋岩質溶結凝灰岩中に脈をなす石英の結晶学的性質を研究し、その一部が原子配列上、石英の単位格子を切片状にしたものを本来のものとは別の規則で配列したもの(いわゆる左水晶と右水晶の切片を単位格子単位で双晶させたもので、この双晶操作に対してはブラジル双晶という呼び名がある)に相当することを発見し、これを産地名であるグラン・カナリア島モガンMogánにちなんでモガン石moganiteと命名した。しかし、国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物・鉱物名委員会(現、新鉱物・命名・分類委員会)はこれを承認していなかった。
これらが同一相であるとすると、lutecineあるいはこの語を英語流にしたluteciteに優先権があるので、これを用いるとする見解もある。一方、最初に研究されたluteciteは水分を含むのに対し、モガン石はこれをほとんど含まないので両方の名前が必要であるとする見解もある。モガン石にはさらに三斜晶系の変態の存在も認められている。その後、モンゴルの北西ゴビ砂漠アルツ・ボグドArts Bogdo山脈産の玄武岩中の脈中の石英がやや多量のモガン石を含むこと、ケニアのマガジMagadi湖産の珪(けい)質堆積(たいせき)物中の“石英”がより純粋なモガン石であることも判明した。現在、世界各地のかなりのチャートや玉髄などがモガン石を含むものとされている。
[加藤 昭]
moganite
化学組成SiO2・nH2Oの準安定なシリカ鉱物。単斜晶系,空間群I2/a 格子定数a0.8758nm, b0.4876, c1.0715, β90.08°,単位格子中12分子含む。隠微晶質塊状。ガラス光沢。劈開なし。硬度6。比重2.52〜2.58。無色,条痕白色。二軸性,屈折率α1.524,γ1.531,2V不明。モガン石の結晶構造は石英の左右の鏡像体が単位格子スケールでブラジル双晶を繰り返した構造に相当し,石英のポリタイプとみなすこともできる。単位格子中に水分子のサイトは存在しないが,分析では4 wt% 前後の水が含まれる。玉髄などの隠微晶質石英の副成分として普遍的に産出するが,まれにモガン石を主体とする塊もある。モガン石が最初に報告された際には,著量のブラジル双晶ラメラとの区別が曖昧で独立の鉱物としては認められないとされたが,結晶構造や安定性などから,シリカ鉱物の独立種として承認。名称は原産地のスペインのグラン・カナリア島モガンにちなむ。
執筆者:門馬 綱一
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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