ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオジ」の意味・わかりやすい解説
アオジ
Emberiza spodocephala; black-faced bunting
アオジ(阿吾地)
アオジ
Aoji
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スズメ目ホオジロ科の鳥。全長約16cm,スズメより少し大きい。背面は褐色,体の下面は黄色。雌雄異色で,雄の頭部が灰青色で,眼先とくちばしの付け根が黒く,雄どうしの対立のときには,この部分の羽毛を逆立てて,くちばしを開けて口腔の赤い部分を見せる。興奮すると頭部の羽毛を逆立てる。シベリア南東部から中国,朝鮮半島,日本にかけて分布し,日本では本州中部以北で繁殖し,南西部で越冬している。森林性であるが,林縁とか,二次林,湿地林などのやぶの多いところを好み,造林地の低木状のところにもよく見られる。繁殖期以外は植物質を主食としているが,繁殖期は多量の動物質をとる。5~7月に低木の枝のまたの上にわん形の巣をつくり,1腹4~5個の卵を産む。ズィッと鳴き,雄は繁殖期に強いなわばり性を示す。低木の頂上など突出したところで,複雑なさえずりをする。ときに木から木へゆっくりと飛びながらさえずったりする。1夫1妻で繁殖し,冬も雌雄1対でいることが多いが,ときには小群を形成する。
執筆者:中村 登流
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鳥綱スズメ目ホオジロ科の鳥。ホオジロ属38種中の1種で、シベリア南部、バイカル地方、ウスリー川流域、樺太(からふと)(サハリン)、千島、日本、中国北部、青海(せいかい)省、貴州(きしゅう)省などで繁殖し、冬季は中国南部にまで至る。まれにネパール、インド北東部、ミャンマー(ビルマ)、インドシナ半島北部に渡来する。日本では北海道の海岸から山地の亜高山帯に至る間、および本州の近畿地方以北の山地帯で繁殖する。全長約15センチメートル。背面暗緑色、下面緑黄色。繁殖期には複雑な美しい声でさえずるが、冬季はやぶの中を潜行しつつチッチッと鳴く。冬季は本州、四国、九州、琉球列島(りゅうきゅうれっとう)(南西諸島)などの低地で普通にみられる。食物は草木の種子が主で、虫やクモも好んで食べる。5~7月に4、5卵を産む。同じ科に属するシマアオジEmberiza aureolaは全長約13.5センチメートル。雄は背面が暗赤褐色、下面は黄色で、雌では背面に緑褐色縦斑(じゅうはん)がある。国外の分布はアオジよりもさらに広く、繁殖地はウラル山脈以西にもあり、冬季インド東部、マレー半島、インドシナ半島に分布するものも多い。
[坂根 干]
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