アスピリン(英語表記)aspirin

翻訳|aspirin

デジタル大辞泉 「アスピリン」の意味・読み・例文・類語

アスピリン(〈ドイツ〉Aspirin)

アセチルサリチル酸の薬品名。解熱鎮痛薬で、もとは商標名。

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精選版 日本国語大辞典 「アスピリン」の意味・読み・例文・類語

アスピリン

  1. ( [ドイツ語] Aspirin ) ドイツバイエル社の解熱、鎮痛抗リウマチ剤の商標名。化学名はアセチルサリチル酸白色無臭粉末またはうろこ状。〔舶来語便覧(1912)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「アスピリン」の意味・わかりやすい解説

アスピリン
aspirin


アセチルサリチル酸の別名で,サリチル酸の酢酸エステル。1899年ドレーザーDreserによって導入された古い医薬であるが,今日でも緩和な作用ながら抗炎症・解熱・鎮痛などの作用にもとづいて広く使用されている。白色の結晶または粉末で,わずかに酸味がある。アスピリンの薬理作用のメカニズムは,1982年度にノーベル賞を受けたイギリスのベーンJ.R.Vaneが1971年に発表した学説によって明らかになった。それは発熱,末梢血管拡張,痛みの感受性増大などの作用をもつ局所ホルモンであるプロスタグランジンE(prostaglandin E)などの生合成に関与する基本的な酵素(シクロオキシゲナーゼ)の働きを抑えることによるものである。血小板が凝集するのを抑える作用もあるので血栓症の予防の目的にも使われることがある。このほかにも非ステロイド抗炎症薬に属する薬物のなかにはインドメタシンその他のように同じメカニズムによって働くものが少なくない。副作用は,比較的少ないが,皮膚の発疹(アスピリン疹),胃腸障害などがある。なお,アスピリンはピリンの名をもつが,ピラゾロン骨格をもついわゆる〈ピリン系〉薬剤ではない。
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百科事典マイペディア 「アスピリン」の意味・わかりやすい解説

アスピリン

アセチルサリチル酸の別名。1899年以来用いられている,すぐれた解熱鎮痛剤の一つ。白色の板状または針状結晶。常用量1回0.5g,1日1〜1.5g。かぜの解熱などのほか,リウマチ,神経痛などに用いる。特異体質の人ではまれに発疹などの副作用がある。なお,ピリンの名をもつが,いわゆる〈ピリン系〉薬剤ではない。(図)
→関連項目風邪薬解熱薬サリチル酸鎮痛薬バイエル[会社]発汗療法フェナセチンライ症候群

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生活習慣病用語辞典 「アスピリン」の解説

アスピリン

アセチルサリチル酸のことです。解熱、抗炎症、鎮痛などの作用がある薬です。少量で血液を固まりにくくする作用があるので血栓予防の薬としても用いられます。

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デジタル大辞泉プラス 「アスピリン」の解説

アスピリン

解熱鎮痛効果のある薬品成分、アセチルサリチル酸の別名。ドイツにある製薬会社、バイエル社の商標。代表的な頭痛薬のひとつ

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化学辞典 第2版 「アスピリン」の解説

アスピリン
アスピリン
aspirin

[同義異語]O-アセチルサリチル酸

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「アスピリン」の解説

アスピリン

 →アセチルサリチル酸

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアスピリンの言及

【痛み】より

…これらの物質は,直接的な発痛作用をもたないが,ブラジキニンによる痛みを強める働きがある。アスピリン(商品名)はプロスタグランジンE2,プロスタグランジンI2の産生をさまたげて痛みを和らげる。深部痛も侵害刺激によって起こるが,筋肉では血流が不足したときに持続的な収縮を続けても痛みが起こる。…

【川崎病】より

…しかし,古典的な成人型の結節性動脈周囲炎とは,フィブリノイド壊死がないか,あってもわずかである点,より大きな筋層動脈をおかす傾向がある点,再燃像がみられない点など明らかに異なっているので,新しい小児の血管炎症候群の一つとして,第9回修正WHO国際疾病分類(446.1)に採用された。
[川崎病の治療]
 急性期には抗炎症作用,抗凝固作用のある薬剤が有効で,アスピリン(商品名)が基本的に用いられている。しかし,一部には冠状動脈瘤が残るので,超音波断層心エコー図による長期管理が必要であり,冠状動脈閉塞例や高度の狭窄例ではバイパス手術が必要となることもある。…

【解熱鎮痛薬】より

…一方,サリチルアルコールの配糖体サリシンを含むヤナギの樹皮もまた,古くから世界各地で使われた歴史的な解熱鎮痛性薬物であった。後者は後にサリチル酸系統の薬物に発展し,なかでも19世紀末に医療の場に導入されたアセチルサリチル酸は,もともとはドイツの一会社の商品名であったアスピリンの名で知られ,最も普及した解熱鎮痛薬として今日でも広く使用されている。医薬の研究に近代科学の手法が導入された19世紀以降,サリチル酸系の薬物のほかにアニリン系,ピラゾロン系などの化合物が有力な解熱鎮痛薬として発見されたが,それらのなかには,その後今日までの間に発生頻度は少ないものの副作用の面で問題があることが注目され,アセトアニリド(アニリン系)やアミノピリン(ピラゾロン系)のように,かつては広く使われたものの今では使用されなくなったものもある。…

【サリチル酸】より

…たとえば,メチルエステルであるサリチル酸メチルmethyl salicylate(融点-0.8℃,沸点223.3℃)は,歯磨きやガム,アイスクリームなど食品用フレーバーとしてのほか,皮膚を刺激することにより逆に深部組織の炎症を和らげる目的で,消炎剤(サロメチールはこの商品名)として用いられる。また,無水酢酸を用いてアセチル化して得られるアセチルサリチル酸acetylsalicylic acid(白色の結晶,融点135℃)は,解熱鎮痛剤(アスピリンはこのドイツのバイエル社の商品名)として著名である。【村井 真二】【鶴藤 丞】。…

【バイエル[会社]】より

…当初はアニリン染料の製造からスタートし,80年代にはヨーロッパ一円に販売網を整え,91年にはレーバークーゼンに本社を移転した。19世紀末に医薬品事業に進出,99年解熱剤アスピリンを発売。1925年バーディッシュ・アニリン・ウント・ソーダ工業社(現,バスフ(BASF)社),ヘキスト染料社(現,ヘキスト社)などと合同し,イーゲー・ファルベン社を結成し,バイエル社の社長であったデュイスベルクCarl Duisberg(1861‐1935)がイーゲー・ファルベン社の社長に就任した。…

【フェナセチン】より

…副作用の点からみると,この薬物が生体内で代謝されてできるアセトアミノフェンacetoaminophenのほうがさらに改良された薬物といえる。これらの薬は解熱・鎮痛作用の強さやその作用の性格がアスピリンと似ているので一般的にはアスピリンのほうが多く使われているが,アセトアミノフェンは副作用の少ない点ではアスピリンよりも優れている。とくに消化管障害などの副作用のためにアスピリンを使えない患者には適している。…

※「アスピリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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