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アビドス Abydos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アビドス
Abydos

アナトリアの古代都市。ヘレスポントスダーダネルス海峡)の東側,今日のトルコチャナッカレ北西に位置する。初めはトラキア人の都市だったとみられ,前670年頃にミレトス人(→ミレトス)が植民した。前200年マケドニア王国フィリッポス5世に対して果敢に戦った。この戦いはヘロとレアンドロスの伝説によって知られる。ヘレスポントス海峡の通関都市としてビザンチン帝国時代後期まで存続した。

アビドス
Abydos; Abdu; Ebot

古代エジプトの最も有名な聖地。エジプト名アブドゥ,コプト名エボト。ナイル川の西岸の砂漠にあり,上エジプトの重要な都市ティニス墓地であった。 19世紀になって第1,2王朝の王たちの墳墓が発見されたが,多くは死体を埋めない記念碑と考えられている。元来はケンティ=アメンテューという山犬の神を祀っていたが,第5王朝には,オシリス神がアビドスと結びつき,まもなくアビドスはオシリス祭儀の中心地となった。遅くとも第 12王朝時代にはオシリスの死と復活を扱った聖劇がアビドスで演じられるにいたった。オシリスの近くに埋葬されたいと願う信者たちの巡礼地となり,そこに葬られない場合には死者の名前などを記した石を置いたものらしく,そのような石が多数発見されている。歴代のファラオはアビドス神殿の造営に励み,またアビドスに自分の記念神殿を建てた。このうち,セティ1世の神殿は大部分が保存され,7柱の神に捧げた7つの礼拝堂にある彩色浮彫は美しい。また廊下の壁面に刻まれた「アビドスの王名表」は史料的価値が高い。諸神殿の周囲にはプトレマイオス朝時代からローマ時代にいたるさまざまな時期の墓地が多く,アビドスは考古学上重要な場所である。

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百科事典マイペディアの解説

アビドス

エジプト中部,ナイル西岸にある古代遺跡。オシリス崇拝の中心地として栄えた。セティ1世のオシレイオン,ラメセス2世の神殿ほかがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

アビドス【Abydos】

エジプト中部のナイル西岸にあり,古代エジプトのオシリス信仰の中心地として栄えた遺跡。元来は上エジプト第8ノモスの州都ティニスの墓地として,ティニスから出て上・下エジプトを統一した王家の墓地が営まれた(先王朝時代末期より初期王朝時代)。墓地の守護神はケンティアメンティウ(西方の第一人者)であったが,古王国後半以降のオシリス信仰の興隆によって,故王がオシリスに変容するという教義が確立すると共にオシリスと同一視され,オシリス信仰の総本山となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アビドス
あびどす
Abydos

ナイル川の左岸、テーベの下流約300キロメートルに位置する、古代エジプトの聖地。初期王朝時代(前3100ころ~前2686ころ)にすでに地域神の聖地とみなされていたが、復活と永生の神オシリスOsirisの信仰がピラミッド時代(前2686ころ~前2181ころ)に王家の宗教となってから、この地の重要性は飛躍的に増大した。オシリスはこの地に葬られたと神話は述べていたからである。以後、歴代の諸王はここに墓、神殿、記念碑を築き、アビドス巡礼は王の義務となった。
 考古学上の発掘調査は、19世紀以来頻繁に行われている。ギゼーの大ピラミッドの建造者クフ王の現存唯一の彫像は、ここでイギリスのピートリー(ペトリー)によって発見された。セティ1世神殿、ラムセス2世神殿などがいまもみられる。[酒井傳六]

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世界大百科事典内のアビドスの言及

【エジプト美術】より

…このような長方形の台形の墓をマスタバと呼ぶ。アビドスの王墓では単純なマスタバの前面に1対の石碑と供物台が置かれ,全体を取り囲む周壁がめぐらされていた。マスタバの壁面に二つのニッチが設けられ,あるいはそこに〈偽扉false door〉がつけられることもある。…

※「アビドス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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