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アーチ arch

翻訳|arch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アーチ
arch

建築用語。弧形に掛渡した構造物。古典建築における水平な 楣 (まぐさ) では空間のかけ渡しに限度があるため,それに代る工夫として登場した。最も単純な形は2本の荒材を相互に支え合せたもので,三角形の開口部をつくる。次いで持出しアーチは平材を数層に重ね,上へいくほど開口部をせばめるように材を突き出し,最上部で完全に開口部を閉じる。その開口部へ突き出した端は下に支えがないため,上からの圧力に弱い。さらに進んだアーチとして,楔形の迫石 (せりいし) を半円形に配列して,垂直に下降する圧力を側方の推力に弱める方法があり,一般にアーチと呼ばれるものはこれである。アーチにはその補強法と装飾効果によって (1) 半円アーチ,(2) 陸アーチ,(3) 三葉形アーチ,(4) 尖頭アーチ,(5) 葱花アーチ,(6) カーテン状アーチ,(7) チューダーアーチ,(8) 馬蹄形アーチなど多種の変形がある。アーチは,中世において重要な建築要素であったが,ルネサンス以降は単純な半円アーチが広く用いられている。

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デジタル大辞泉の解説

アーチ(arch)

建造物で、上方へ弓形に曲がった梁(はり)。半円・尖頭形・馬蹄形などがあり、窓・入り口・門・橋などに用いる。迫持(せりもち)。
祝祭典の会場に設ける記念門。上部を弓形にして、杉・ヒノキなどの青葉で包むように飾る。緑門(りょくもん)。
弓形のもの。「虹(にじ)のアーチ
野球で、本塁打のこと。「逆転のアーチをかける」

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百科事典マイペディアの解説

アーチ

建築や橋などに用いる弧状の構造体で,弧に沿って伝わる圧縮力だけで荷重をささえる。圧縮力に強い石や煉瓦などのアーチが紀元前から用いられ,ローマ建築,ビザンティン建築で発達,半円,馬蹄(ばてい),尖頭(せんとう)をはじめ各種の様式を生み,まぐさ式構造とともに石造建築の二大形式の一つとなった。
→関連項目アーケードアーチ橋凱旋門構造力学タンパンバットレス

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世界大百科事典 第2版の解説

アーチ【arch】

両側の柱あるいは壁の上から,石材あるいは煉瓦のブロックを少しずつせり出して,曲線状につくり上げた梁のこと。迫持(せりもち)ともいう。古代エジプト人は前3000年ころからアーチ工法を知っており,日乾煉瓦造の倉庫などに用いていたが,表向きの主要な建物に用いることはなかった。古代ギリシア人もアーチ構造を知っていたが,造形上の好みから,主要建物の目に触れる部分には用いていない。エジプトもギリシアも石材にめぐまれていたからである。

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大辞林 第三版の解説

アーチ【arch】

弓形に積み上げた石や煉瓦れんがなどによって上部の荷重を支える構造。窓・門・橋桁はしげたなどにみられる。迫持せりもち
祝賀会・運動会などで仮設される門。上部を弓形にし、常緑樹の葉でおおう。緑門りよくもん
円弧。弓形。 「虹の-」
野球で、ホーム-ラン。 「 -をかける」 「場外-」

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家とインテリアの用語がわかる辞典の解説

アーチ【arch】

➀門・出入り口・窓の上部を石・煉瓦(れんが)などで円弧状に造った梁(はり)。半円形のほか、馬蹄(ばてい)形、尖頭(せんとう)形などがある。◇「迫(せ)り持ち」ともいう。
緑門。杉(すぎ)・檜(ひのき)などの青葉で全体をつつんだ門。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アーチ
あーち
arch

上方に凸な平面曲線状の開口部をつくるために、その平面曲線に沿って楔(くさび)形のれんがや石を逐次積み上げ、その自重とその上部の壁体の重量を支持できるようにした構造物。アーチはその平面曲線の形状により分類される。ラウンド・アーチround archの例としては半円アーチ、尖頭(せんとう)アーチの例としては2個の円弧からなるランセット・アーチlancet archなどがある。
 楔形の小さなれんがや石のサイズに比べて、かなり広いスパンspan(支点間の距離)の開口部を、中間の支持体なしにつくることができる力学的原理を簡単に説明しておこう。等しい重量の重りを等間隔でケーブルに吊(つ)り下げると、ケーブルには引張り力だけが作用し、重量分布に応じたケーブル形状が定まる。全重量は両端の引張り支持力の鉛直成分とつり合う。鉛直面内で水平面h―h′に関して、そのケーブル曲線と対称な曲線が得られるように転回し、楔形れんがを積み上げると、れんがの自重はケーブルとは逆に、主として相互に押し合う力だけによって支持され、最終的には全重量が両端に伝えられて支持される。しかしあまりにも偏平なアーチでは、両端の支持力として鉛直成分のみならず比較的大きな水平成分も必要となる。このようにしてアーチの楔状れんがが自重やその直上の壁体重量を支持する作用をアーチ作用という。アーチがアーチ作用を発揮できるためには、十分強剛な基礎または支持台が必要となる。
 アーチ作用は、現代では合成木材や鉄筋コンクリート構造のアーチにおいても利用されている。上方に凸な平面曲線状の単一の棒材は、鉛直荷重に対するアーチ作用のみならず、地震による慣性力や、その他の外力に対しても梁(はり)作用によって抵抗する能力をもっている。このほかに、鋼部材を多数組み合わせて、全体として平面曲線状を呈するように構成したアーチ形トラスも、アーチ作用を示す。これらの現代のアーチは、内部に柱などの支持体のない広大なスパンの空間を実現するのに利用される。多数のアーチを並列したり、交差させたり、あるいはシェル構造などと組み合わせたりして、ダイナミックな外観の種々の大スパン構造物がつくられてきた。[中村恒善]

歴史

アーチの歴史は古く、新石器時代にすでに三角形アーチが用いられた。曲線のアーチが最初に用いられたのは紀元前4000年ごろメソポタミアにおいてであった。エジプトでは墳墓で三角形アーチが、穀物舎でボールトvaultが採用された。アーチを前後に連続させたものをボールトというが構造的には同様のものである。ギリシアでは(まぐさ)式構造が一般的であるが、前2世紀になってプリエネのアゴラの門にアーチが使われた。大規模で美しいアーチはエトルリア人によって建設され、ペルージア市門の遺構がある。エトルリア人のアーチの技術はローマ人が受け継ぎ、彼らはそれをもっとも重要な造形表現、技術として展開していった。水道橋、闘技場、バシリカをはじめとして、ローマ建築はアーチを抜きにしては考えられないほどである。古代ローマのアーチはもっぱら半円形を主体とするもので、中世ロマネスク建築もこれを踏襲している。一方、イスラム建築では馬蹄(ばてい)形アーチhorseshoe archが好まれた。ゴシック建築は新しく尖頭(せんとう)アーチとこれに関連した架構システムによってみごとな様式をつくりあげた。イスラムでも好んで用いられた反曲点をもつオジー・アーチogee archが後期ゴシック建築に導入されて華やかさを加えた。さらにルネサンス、バロックでは半円アーチが復活した。19世紀になって鉄によるアーチ構造は大スパンの建造物の架構を可能にした画期的なものとなった。[長尾重武]

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