デジタル大辞泉 「梅酒」の意味・読み・例文・類語
うめ‐しゅ【梅酒】
[類語]酒・
ウメの実を砂糖とともに焼酎につけ込んだ果実リキュール。古くは〈うめざけ〉といった。能狂言の《餅酒》に〈松のさかやゝ梅つぼの,柳の酒こそすぐれたれ〉とみえ,室町時代の京都で名をはせた柳酒屋の銘酒が柳の酒(柳酒)と呼ばれていたことから,松の酒屋,つまり松酒屋というのもあったのではないかとみられる。また梅つぼは,単に松・柳の縁語が梅だからというので語呂合せにしただけではなく,梅酒の酒壺のことではないかと推察されている。事実,同時代の京都には梅酒屋を称する町人がいた。当時の梅酒の製法は不明だが,下って江戸時代の元禄年間(1688-1704)に刊行された《本朝食鑑》にはくわしく記されており,それによると早稲(わせ)のわら灰の汁に半熟梅を一晩ひたしてとりだし,酒で洗い,甕に入れた古酒5升に梅2升をつけ,白砂糖7斤を混入して20日ばかり置くとある。やがて,16世紀に本土に伝えられた焼酎の入手が容易になったためか,《和漢三才図会》(1712)では焼酎を用いるようにもなっている。製法は青梅1~1.2kg,氷砂糖700~800gを焼酎1.8lにつけるのが標準。容器を密封し保存する。長く保存するほど風味がよい。糖分を多くすると梅の実にしわが寄りやすくなる。梅の実は最低3ヵ月はつけること。また苦みをつけないため梅を焼酎につける前に1日水につけるとよい。夏季の整腸,疲労回復に効く。
→果実酒
執筆者:横井 清+菅間 誠之助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ウメの実に焼酎(しょうちゅう)を加えて、その香味成分を浸出した日本古来の酒で、一種のリキュールである。
[秋山裕一]
ウメの実は、果肉が厚く、酸味が強く、色の鮮やかな固い新鮮なものがよい。青梅1.2キログラムをよく洗い、水をふきとり、5~6リットル入りの広口瓶に入れ、砂糖を上に入れる。砂糖は果実と同量にするのが標準的であるが、好みにより加減するのが楽しみの一つで、0.6~1キログラムぐらい使う。砂糖は氷砂糖かグラニュー糖を用いる。その上から35度(35%)の焼酎1.8リットルを注ぎ入れる。密封して冷暗所に置くが、ときどき静かに揺すって、砂糖を均一にする。2~3か月すれば飲めるが、1年ぐらい置くほうが、色もこはく色になり、香味もなれてよくなる。ウメの実は入れたまま長く置くと苦味が出てくるので、3か月ぐらいして取り出したほうがよい。実は食べる。砂糖を混ぜた焼酎に青梅を漬けておくと、ウメから酸味(主としてクエン酸)と香気が液汁にしみ出し、甘味と酸味の調和した酒ができあがる。成分はアルコール11~12%、酸量は0.2~0.3%で、さわやかな香味のために夏季の暑気払いに愛飲されている。昔から下痢止めなど家庭医薬としても用いられた。
以前は家庭で梅酒をつくることは公には酒税法で認められていなかったが、1962年(昭和37)4月酒税法が改正され、ブドウ以外の果実と焼酎などを用いる自家製の果実酒の製造が公認された。
[秋山裕一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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…能狂言の《餅酒》に〈松のさかやゝ梅つぼの,柳の酒こそすぐれたれ〉とみえ,室町時代の京都で名をはせた柳酒屋の銘酒が柳の酒(柳酒)と呼ばれていたことから,松の酒屋,つまり松酒屋というのもあったのではないかとみられる。また梅つぼは,単に松・柳の縁語が梅だからというので語呂合せにしただけではなく,梅酒の酒壺のことではないかと推察されている。事実,同時代の京都には梅酒屋を称する町人がいた。…
※「梅酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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