ウルシ(漆)(読み)ウルシ

百科事典マイペディア 「ウルシ(漆)」の意味・わかりやすい解説

ウルシ(漆)【ウルシ】

ウルシ科の落葉高木。中国原産。樹皮は暗灰色。葉は枝先に互生し,奇数羽状複葉をなし,鋸歯(きょし)のない小葉を3〜7対つける。雌雄異株。6月黄緑色で小さな5弁花を葉腋に円錐状に密につける。果実はゆがんだ球形で径約8mm,毛はなくなめらか。樹皮にウルシオールを含み,強いかぶれをおこす。採取のため日本各地で植栽され,果実からは蝋をとる。近縁ヤマウルシ山野にはえ,果実はやや小型で表面にかたい毛を密生する。ツタウルシはつる性で,葉は3枚の小葉からなる。いずれも紅葉が美しい。
→関連項目接触皮膚炎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルシ(漆)」の意味・わかりやすい解説

ウルシ(漆)
ウルシ
Rhus verniciflua; sumac

ウルシ科の落葉高木。中国,中央アジア原産であるが,古くから日本で栽培されている。幹は灰白色で,高さは 10mにもなりまばらに分枝する。奇数羽状複葉の葉が枝先に集って互生する。6月頃,葉腋に円錐花序を出し,多数の黄緑色の小花をつける。雌雄異株。果実は腎臓形で径 7mmぐらい,熟すると黄褐色で穂状に垂れ下がる。山地,特に東北地方に多く栽培され,幹にきずをつけて漆汁を集め漆器に塗る。漆汁にはウルシオールが含まれ,これに過敏な人は漆かぶれ (皮膚炎) を起す。果実からはパルミチン酸が主成分の油脂がとれ,木ろうの材料となり,同属のハゼノキ R. succedaneaもろうをとるために栽培される。材は辺材が白,心材が赤褐色でつやがあり装飾用の細工物などに用いられるほか,漁網の浮きなどにも使われる。

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