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地中海東部,バルカン半島と小アジアの間の内海。現代ギリシア語では,Aigaión Pélagos。南はクレタ島を経て東地中海につながり,北東へはダーダネルス海峡,マルマラ海を経由して黒海に通じる。多島海(アルキペラゴArchipelago)という別名をもつとおり島が多く,これらはキクラデス諸島,北スポラデス諸島,ドデカネス諸島(南スポラデス諸島)ならびにクレタ島に分かれる。島々のほとんどは,ほぼ東西に走る3本の沈降海底山脈の頂上が水面に現れたものである。最深部はクレタ島の北にあって2250m。エーゲ海の海岸線は東側がトルコに属するほかはギリシア領となっており,島々もほとんどすべてギリシアの領土である。主要な港はピレウス,テッサロニキ(以上ギリシア),イズミル(トルコ)など。北部のタソス島の近くにごく小規模な海底油田がある。エーゲ海の名称はおそらくはギリシア神話の英雄テセウスの父アイゲウスがこの海に身を投げたことに由来する。島が多くて航行に適したこの海は,古来文明の伝播に大きな役割を果たしてきた。
執筆者:池澤 夏樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…子宝をさずかる方策を伺いにデルフォイの神託所に赴いた帰途,トロイゼン王の娘と交わって一子テセウスを得た。のちテセウスがクレタ島の怪物ミノタウロスを退治したとき,無事の帰還の場合は白い帆を張るという約束を忘れて黒い帆のままで帰港したため,それを目にした父王は息子が死んだと思いこみ,海に身を投じた(エーゲ海――〈アイゲウスの海〉の意――の名のおこり)。【水谷 智洋】。…
…地質学的なタイム・スケールからみれば,ジブラルタル海峡は狭められつつあるということができる。現在の地中海のおよその輪郭は第三紀に形づくられ,アルプス造山運動による周辺山地の形成,アドリア海の形成,ギリシアと小アジアの間の沈降によるエーゲ海の形成などがこれに相当する。地中海地域各地に地震帯が多く,また火山活動が活発なのも,このような地質学的に最近の地殻運動を物語っている。…
※「エーゲ海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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