オルセー美術館(読み)オルセーびじゅつかん(英語表記)Musée d'Orsay

精選版 日本国語大辞典 「オルセー美術館」の意味・読み・例文・類語

オルセー‐びじゅつかん ‥ビジュツクヮン【オルセー美術館】

(オルセーは Orsay) フランスパリにある国立近代美術館。旧オルセー駅を増改築し、一九八六年に開館。一八四八年から一九一四年にかけての美術作品を中心所蔵

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デジタル大辞泉 「オルセー美術館」の意味・読み・例文・類語

オルセー‐びじゅつかん〔‐ビジユツクワン〕【オルセー美術館】

フランス、パリにある国立近代美術館。旧オルセー駅(Orsay)を増改築し、1986年に開館。1848年から1914年の美術作品を中心に所蔵。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルセー美術館」の意味・わかりやすい解説

オルセー美術館
おるせーびじゅつかん
Musée d'Orsay

フランス、パリ市中央部、ルーブル美術館のセーヌ川斜め対岸に位置する国立美術館。フランスに二月革命が起きた1848年から第一次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)した1914年までの絵画・彫刻・工芸・建築・デザイン・写真などの芸術作品を収集展示している。古代から19世紀前半までのコレクションを誇るルーブル美術館と20世紀の現代美術を対象とするポンピドー・センターの国立近代美術館をつなぐ美術館としての役割を担う。コレクションはルーブル美術館、印象派美術館として親しまれていたジュ・ド・ポーム美術館(現代美術専門に1991年再オープン)、装飾美術館などから集められた。クールベ、マネをはじめとして日本で人気の高いモネやルノワールなどの印象派、セザンヌゴーギャンゴッホらの作品が鑑賞できる。「19世紀の都」としてパリが開花させた文化を多面的に紹介し、たとえば、館内に設けられたオペラ座のコーナーには、1875年に竣工(しゅんこう)したシャルル・ガルニエ設計のオペラ座とその界隈(かいわい)の100分の1の模型が展示されている。

 美術館の建物自体は、パリで万国博覧会が開催された1900年、トゥールやボルドー方面へ向かう鉄道起点としてビクトール・ラルーVictor Laloux(1850―1937)が設計した旧国鉄オルセー駅の駅舎を改造したもので、この改造計画は大統領ポンピドーのもとで構想された。開館したのは1986年12月、大統領ミッテランの政権下であった。イタリアの建築家ガエ・アウレンティGae Aulenti(1927―2012)が、元の駅舎の構造や装飾を生かす方針に基づいて内装を担当し、館内の大時計などに駅舎当時のおもかげが残されている。

[吉川節子]

『吉川逸治編『ルーヴルとパリの美術5 オルセー美術館1』『ルーヴルとパリの美術6 オルセー美術館2』(1985/1986・小学館)』『丹尾安典ほか編『NHKオルセー美術館』全6巻(1990・日本放送出版協会)』『ロバート・ローゼンブラム著、高階秀爾監訳『オルセー美術館の絵画』(1993・中央公論社)』


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百科事典マイペディア 「オルセー美術館」の意味・わかりやすい解説

オルセー美術館【オルセーびじゅつかん】

パリのセーヌ川沿いに1900年に建造された鉄道の駅舎を再利用して,1986年に開館した美術館。印象派美術館ルーブル美術館プティ・パレ美術館などの所蔵品を基に,主に1848年(二月革命)以降から1914年(第1次大戦)にかけての美術作品を展示する。収蔵品は,アングルドラクロアから始まり,ミレードーミエクールベマネモネルノアールゴッホセザンヌと珠玉の名作が並ぶ。収蔵品とともに,ガラスのドーム型の大天井をかかげる建物もまた,モダニズムを形成してきた歴史的存在として十分に鑑賞に値する。
→関連項目ケ・ブランリ美術館パリパリのセーヌ河岸山梨県立美術館

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルセー美術館」の意味・わかりやすい解説

オルセー美術館
オルセーびじゅつかん
Musée d'Orsay

フランス,パリにある美術館。1900年のパリ万国博覧会の際に建設されたオルセー駅を改装し,1986年に開館。1848~1914年の美術を扱い,ルーブル美術館とパリ国立近代美術館(→ジョルジュ・ポンピドー国立芸術文化センター)との間隙を埋める役割を果たす。そのためにルーブル美術館とかつての印象派美術館,パレ・ド・トーキョーの近代美術館,リュクサンブール美術館の関連する収蔵品が一括された。新古典主義,ロマン主義(→ロマン主義美術)から,バルビゾン派,印象派(→印象主義)を経て,後期印象派象徴主義にいたる近代フランス美術の流れを,アカデミーの動向をも含めて網羅している。代表的収蔵品にポール・セザンヌ『トランプをする男たち』,エドガー・ドガ『ダンス教室』,ジャン・フランソア・ミレー『落穂拾い』,クロード・モネ『睡蓮の池』,ピエール・オーギュスト・ルノアール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』などがある。

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世界遺産情報 「オルセー美術館」の解説

オルセー美術館

フランスのパリにある19世紀美術専門の美術館で、印象派の画家の作品が数多く収蔵されていることで有名です。かつてオルレアン鉄道の終着駅だった駅舎をそのまま利用し、1986年、オルセー美術館が開館しました。現在ではパリの観光名所としてすっかり定着し、旧印象派美術館(ジュ・ド・ポーム)の収蔵品はすべてオルセーに引き継がれています。ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」、ドガの「青い踊り子達」、ゴッホの「オーヴェル・シュル・オワーズの教会」、ゴーギャンの「タヒチの女たち」などの名作があります。

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世界大百科事典(旧版)内のオルセー美術館の言及

【ルーブル美術館】より

…従来の収集に加え,ナポレオン時代のエジプトからの将来品,その後の発掘品や購入品,寄贈が今日のルーブル美術館を形づくっている。なお,収蔵品の増大にともないルーブル美術館は近年改修が施され,中庭に新たにピラミッド風建築が造られるとともに,19世紀後半の美術品は,印象派美術館の所蔵品とともにセーヌ川対岸に1986年開館したオルセー美術館Musée d’Orsayに移管された。【中山 公男】。…

※「オルセー美術館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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