カオリナイト(読み)かおりないと(英語表記)kaolinite

翻訳|kaolinite

デジタル大辞泉 「カオリナイト」の意味・読み・例文・類語

カオリナイト(kaolinite)

粘土鉱物の一。アルミニウムの含水珪酸塩けいさんえんで、塊状・土状のことが多く、白、黄または灰色火山岩・長石・雲母うんもなどが風化してできる。カオリン主成分

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト
かおりないと
kaolinite

カオリン鉱物一種。カオリン石ともいう。火成岩、火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)の熱水変質鉱物として産するほか、長石、火山ガラスや他のアルミニウムを含む珪(けい)酸塩鉱物の風化物として堆積(たいせき)岩や土壌中に産する。また、熱水鉱脈鉱床の脈石鉱物や花崗(かこう)岩ペグマタイト中にも産する。普通、塊状ないし粉状である。電子顕微鏡で観察すると、六角板状ないし鱗片(りんぺん)状の結晶がみられる。カオリナイトを主とする粘土で不純物の少ないものは、陶磁器や耐火物に利用される。また、製紙原料、化粧品、農薬などの増量剤などにも利用される。名称は、中国のこの鉱物産地に近い小山の名前、高陵(Kauling)がなまってつけられたカオリンに由来する。

松原 聰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト
kaolinite

アルミナ質粘土鉱物の代表的な種。化学式はAl2(Si2O5)(OH4で,SiO4四面体層と,AlとOおよびOHの形成する八面体層が交互に積み重なって形成する二層構造をもつ層状結晶構造を示す代表的な結晶である。三斜晶系の場合と単斜晶系に属する結晶構造を示す場合とがある。また同一の化学組成をもち同様な構造をもつ鉱物としてディッカイトdickite,ナクライトnacriteが存在し,いずれも微細な六角板状の結晶となる。花コウ岩などの岩石熱水変質作用,同種岩石の風化・分解・堆積作用などによって生成するが,愛知県北部より岐阜県南部にわたり広範囲に分布する瀬戸地方のカオリン鉱床は日本の代表的な産地である。陶磁器原料,耐火物原料などきわめて用途が広い。利用にあたり,水洗し(水簸(すいひ)法),精製して用いることが多い。その名称は,中国景徳鎮近くの陶磁器原料産地高嶺よりおこり和名高嶺石という。前述の化学式にさらに2H2Oの加わったハロイサイトhalloysiteを含めてカオリナイト鉱物と称する。
カオリン
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「カオリナイト」の解説

カオリナイト
カオリナイト
kaolinite

Al4[Si4O10](OH)8.高陵(りょう)石ともいう.層状ケイ酸塩鉱物.岩石の風化や熱水作用による二次鉱物として広く分布する.カオリン粘土の主要鉱物.ディッカイト(dickite),ナクライト(nacrite)とは多形.ハロイサイト(halloysite),メタハロイサイトは含水量のさらに多いものである.人工的にはAl2O3-SiO2,またはAl(OH)3-SiO2組成のゲルを250~400 ℃ に保って得られる.三斜晶系,空間群 P 1,格子定数 a0 = 0.515,b0 = 0.895,c0 = 0.739,d001 = 0.715 nm.α 91.8°,β 104.8°,γ 90°.普通,数 μm 以下の微小六角板状結晶.へき開{001}完全.硬度2.61~2.68.密度2~2.5 g cm-31.553~1.570.複屈折0.006.白色または帯赤褐色.塩酸に溶ける.400~525 ℃ で吸熱の脱水反応を起こし,800 ℃ で完全に脱水する.これをメタカオリナイトという.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト
kaolinite

Al2Si2O5(OH)O4粘土鉱物の一種。硬度2~2.5,比重 2.61。普通数μm 以下の微細な結晶として産出する。熱すると,500℃付近で (OH) の脱水によって吸熱反応を示し,900~1000℃でムル石を生じて発熱反応を示す。火山岩の熱水変質鉱物として,または雲母,長石,火山ガラス片の風化作用によって生じる。カオリナイトが運ばれて堆積盆地にたまり,カオリン粘土層をなすこともある。耐火原料や製紙原料,また顔料などに使われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「カオリナイト」の意味・わかりやすい解説

カオリナイト

高嶺石とも。カオリン鉱物の一種。普通の粘土の主成分で,Al2Si2O5(OH)4。三斜晶系と単斜晶系と2種ある。結晶は六角薄片状だが,普通は微晶で粉末塊として産する。硬度2〜2.5,比重2.6。火山岩,雲母,長石が分解して生成,しばしば広大な地域に産し陶磁器や製紙原料となる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

岩石学辞典 「カオリナイト」の解説

カオリナイト

カオリン・グループの粘土鉱物[Brindley : 1951].一般的な化学組成はAl2Si2O5(OH)4

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカオリナイトの言及

【鉱物】より

…この例としては含銅硫化物の分解により生じた水溶液より晶出するタンバンや,硫化鉱物中に含ヒ素硫化鉱物を含有する場合に生じるスコロダイト,オリーブ銅鉱などがあげられる。また酸性火成岩類の風化作用により生じた粘土鉱物のハロイサイト,カオリナイト,さらにそれらの風化作用により生じたギブサイトなども二次鉱物の一種である。その分解過程の一部を,長石類を出発物質として示せば次のようになる。…

※「カオリナイト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android