デジタル大辞泉
「グランチャコ」の意味・読み・例文・類語
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グランチャコ
Gran Chaco
南アメリカ中部内陸にある広大な平原地帯。単にチャコとも呼ばれる。アルゼンチン北部から北へ,パラグアイ,ボリビアにかけて広がり,西はアンデス山脈,東はパラグアイ=パラナ川によってかぎられる。南北の境界ははっきりしないが,一般に北はチキトス草原とイソソグ湿原まで,南はサラド川までとされる。面積約 70万km2。草原と低木林に覆われた低平な沖積平野で,中央部を南東流するピルコマヨ川までを北チャコ,ピルコマヨ川とその南を並行して流れるベルメホ川に挟まれた地域を中央チャコ,ベルメホ川以南を南チャコと呼ぶ。大部分は亜熱帯気候に属し,月平均気温 18~24℃。年降水量は西から東に向かって多くなり,約 500~1300mm。このうち半分近くが集中して降る夏の雨季には洪水によって広範囲にわたる地域が冠水するが,蒸発が著しいため,パラグアイ川沿岸の森林地帯と通年湿地帯を除くと全体に乾燥地帯となっており,耐乾性の植生が多い。チャコはケチュア語で「狩場」を意味するように,ジャガー,ピューマ,バク,キツネ,シカ,グアナコなど野生動物が多く,先住民のインディオは狩猟,採集を中心とした生活を送っている。初期の入植者によって牧牛が導入され,20世紀に入ってチャコ横断鉄道や道路の敷設,綿作の推進,カナダからのメノー派教徒の入植地の建設,水力資源の開発など,各国政府によってこの地域の開発が進められた。しかし,市場から遠く離れ,洪水と干魃を繰り返す気候条件に妨げられて交通網の発達も遅れ,さらに土壌が塩分を含み,地下水に恵まれないなどの要因も重なって,開発は容易ではなく,今日も人口希薄地帯である。主産業は牧羊のほか,綿作と林業で,特にケブラチョと呼ばれる硬質の低木はタンニンの原木として,また用材として重要であり,東部には大規模なタンニン抽出工場が建設されている。1920年代に北西部のアンデス山麓で発見された石油は,ボリビアとパラグアイの間にチャコ戦争を引き起こしたが,その後の開発はふるわず,今後の新油田の発見に期待がかかる。主要都市はパラグアイ=パラナ川に近いレシステンシアとフォルモサ,および南西端部のサンチアゴデルエステロ。
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グラン・チャコ
ぐらんちゃこ
Gran Chaco
南アメリカ中央部、アンデス山脈とブラジル高原の間に横たわる標高500メートル以下の平野。ボリビア南東部、パラグアイ西部、アルゼンチン北部(南緯30度以北のパラナ川西岸)にかけて広がる。アンデス山脈に発し南東流するピルコマヨ川やサラド川などの河川が堆積(たいせき)した土砂からなる平野で、湖沼や低湿地、また雨期に定期的に浸水する部分も多い。東縁部を除き年降水量600~1000ミリメートルで顕著な乾期の存在と夏季の高温を特徴とする半乾燥気候下にある。おもに落葉性の低灌木(かんぼく)林が広がっているが、局部的には草原やサバナ植生もみられる。灌木林中に自生するケブラチョの木はタンニンの原料および用材として経済的価値が大きい。アルゼンチンのパラグアイ川、パラナ川西岸地方で綿花栽培が盛んなほかには目だった農業地域はなく、その大部分は粗放的な牧場ないし未開の原野である。
[松本栄次]
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「グランチャコ」の意味・わかりやすい解説
グラン・チャコ
南米,アルゼンチン北部からボリビア,パラグアイにわたる大平原。アンデス山脈とパラグアイ川流域の間に南北に連なる低平なサバンナ地域。ピルコマヨノリ以北の地域は,19世紀以来ボリビア,パラグアイの係争地で,1920年に石油が発見され,チャコ戦争に発展した。メノー派の入植地がある。アルゼンチン領チャコでは,東部はケブラチョ(タンニン原木)や綿花が栽培されるが,西部の開発は進んでいない。
→関連項目パラグアイ
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世界大百科事典(旧版)内のグランチャコの言及
【チャコ】より
…グラン・チャコGran Chacoともいい,南アメリカ大陸の中央部にある広大な平原。東はパラグアイ川,西はアンデス山麓に達する沖積平野で,ピルコマヨ川以北のチャコ・ボレアルと以南のアルゼンチン領チャコに大別される。…
【パラグアイ】より
…高度は平原部の標高80m前後からパラナ高原の700~800mに及び,比較的降雨量が多く豊かな森林地帯が広がっている。西パラグアイは国土の60%を有するきわめて人口過疎な地域で,グラン・チャコ地方と呼ばれる。北西部から南東部にかけて大平原が広がり,乾燥した変化に乏しい疎林地帯となる。…
※「グランチャコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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