日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲルラハ」の意味・わかりやすい解説
ゲルラハ
げるらは
Walther Gerlach
(1899―1979)
ドイツの物理学者。ビーブリッヒに生まれる。フランクフルト大学、チュービンゲン大学教授を経て、ミュンヘン大学教授。熱放射に関する実験を手がけ、シュテファン‐ボルツマンの法則の定数を決定することに貢献した。1921年フランクフルトで、O・シュテルンとともに、加熱した炉で蒸発した銀原子の細いビームを用いて、スペクトル線の微細構造に関する実験を始めた。一連の実験によって、銀原子は磁場の方向に大きさが1ボーア磁子の磁気モーメントをもつことを示し、方向量子化の確証を与えた。これはまた、磁気モーメントの原子的本性や、その量子論的起源および電荷の原子的構造との関係などの解明に重要な役割を果たした。
[小林武信]