家門(読み)カモン

デジタル大辞泉 「家門」の意味・読み・例文・類語

か‐もん【家門】

一家全体。一家一門。「家門誉れ
家柄いえがら。家筋。
徳川将軍家の親族で、尾張尾州)・紀伊紀州)・水戸三家田安一橋清水三卿さんきょうを除く、越前松平家・会津松平家とその支流をいう語。
[類語]一門一族血族家系家筋いえすじうじ血筋血脈血統筋目毛並み

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精選版 日本国語大辞典 「家門」の意味・読み・例文・類語

か‐もん【家門】

〘名〙
① 家の門。
※海人藻芥(1420)「別当の家門前、通裡檜垣外也。法親王門跡の前へ不乗打也」 〔史記‐夏本紀〕
② 一家一門。一族。実家の一門。
御堂関白記‐長和四年(1015)五月二九日「女方出大内、家門修鬼気祭」 〔後漢書‐虞詡伝〕
③ 家の格式家柄。家筋。
※続日本紀‐天平勝宝元年(749)二月壬戌「或家門雖重、以拙却之」 〔南史‐蕭引伝〕
④ 立派な家柄。身分の重い家筋。御家門(ごかもん)。〔春秋左伝‐昭公三年〕
(イ) 五摂家をさしていう。
※故実拾要(1720頃)七「家門と称するは五摂家を公界に於て称す」
(ロ) 江戸時代大名家格一つで、徳川将軍家の親族、尾張・紀伊・水戸の三家、田安・一橋・清水の三卿のほか、越前・会津の二家、また、それらの支流をさしていう。
徳川実紀‐寛永一九年(1642)七月八日「家門并に諸大名登営し、御けしきを伺ふ」

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改訂新版 世界大百科事典 「家門」の意味・わかりやすい解説

家門 (かもん)

江戸時代における大名家格の一つ。徳川氏の直系一門(親藩)のうち,御三家・御三卿以外の大名とその分家および御三家の分家(御連枝)をいう。越前系の福井・松江・津山,尾張系の高須,紀伊系の西条,水戸系の高松,久松系の松山・今治,保科系の会津,越智系の浜田の各藩がこれにあたる。いずれも松平姓を称した。家門は御三家とともに幕府権力の強化および維持に重要な役割を果たした。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「家門」の解説

家門
かもん

江戸時代の大名の家格。親藩のうち御三家・御三卿を除いたもの。ただし広い意味では,徳川将軍家の男子の子孫で大名家となった御三家以下全体を,徳川家門として扱うこともある。家康の次子秀康を祖として数家にわかれた越前家の諸家(越前国福井・美作国津山・出雲国松江・播磨国明石など)や2代将軍秀忠の子保科正之を祖とする会津松平家,連枝とよばれる御三家の支流(尾張家支流の美濃国高須家,紀伊家支流の伊予国西条家,水戸家支流の讃岐国高松家・陸奥国守山家ほか)などの諸松平家がある。

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普及版 字通 「家門」の読み・字形・画数・意味

【家門】かもん

家。一家一門。〔左伝、昭三年〕、家門に在り。民依る無し。

字通「家」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家門」の意味・わかりやすい解説

家門
かもん

古くは父系の血族集団を家門,一門などといったが,江戸時代には大名の格式の一つとなり,将軍の親族で御三家御三卿以外の家をこう呼んだ。いわゆる御三家,越前家,会津家から分家した大名で,庶流ともいい,松平姓を名のった。特に御三家の庶流は連枝と呼ばれた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「家門」の解説

家門
かもん

江戸時代,大名の家格の一つ
御家門ともいう。親藩のうち御三家・御三卿以外の大名で,越前と会津の両松平氏などをさす。家格は御三家につぎ,御三卿の上位。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家門」の意味・わかりやすい解説

家門
かもん

御家門

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世界大百科事典(旧版)内の家門の言及

【松平氏】より

…三河時代には〈岩津の庶家〉と〈安城の庶家の頭〉の桜井家が序列の上位をしめたが,近世において大名となったのは形原,深溝,能見,大給,滝脇,桜井,藤井の7家であった。 新しい松平一族とは,家康の次男結城秀康の子孫(越前家)と三家の庶家(連枝),秀忠以後の歴代将軍の庶子や姻戚(保科,鷹司,越智(おち)),家康の異父弟久松氏系といった将軍の血縁グループ(家門)と,非血縁グループである。後者は松平姓を与えられた家臣(奥平,大須賀,戸田,松井,依田,柳沢)と,将軍の息女を正室に迎えた外様大名(13家)という擬制的一族である。…

※「家門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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