ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーストン」の意味・わかりやすい解説
サーストン
Thurston, William Paul
[没]2012.8.21. ニューヨーク,ロチェスター
アメリカ合衆国の数学者。1972年カリフォルニア大学バークリー校で博士号取得。プリンストン高等研究所 IAS,マサチューセッツ工科大学 MIT,プリンストン大学,バークリー数理科学研究所 MSRI所長を経て,1996年にカリフォルニア大学デービス校教授。1983年,ポーランドのワルシャワで開催された国際数学者会議で,位相幾何学(→トポロジー)に関する業績によりフィールズ賞を受賞した。2次元の閉曲面(→閉曲線と閉曲面)は種類によって,正の定曲率,負の定曲率または平坦な計量を入れることができる(→曲率)。サーストンは,このような幾何構造の視点から 3次元多様体論(→多様体)に大きな発展をもたらした。負の定曲率の場合,歴史的には非ユークリッド幾何学に由来するものであるが,アンリ・ポアンカレ,フェリックス・クラインらによって双曲幾何学として研究されていた。サーストンは,3次元多様体が双曲幾何構造をもつための判定条件を定めた。サーストンの幾何化予想は,3次元多様体をいくつかの部分に分けることにより,それぞれを 8種類の幾何構造のいずれかに分割できるというもので,21世紀に入ってグリゴリー・ペレリマンにより証明され,ポアンカレ予想の解決につながった。
サーストン
Thurstone, L(ouis) L(eon)
[没]1955.9.29. ノースカロライナ,チャペルヒル
アメリカの心理学者。コーネル大学で工学を学び,一時 T.エジソンの助手をつとめたこともあるが,ミネソタ大学を経てシカゴ大学教授,次いでノースカロライナ大学教授を歴任。数学的方法を心理学的問題に適用,多因子分析法の展開と知能測定法の改良に貢献 (→等現間隔法 ) 。主著『心のヴェクター』 The Vectors of Mind (1935) ,『多因子分析』 Multiple-Factor Analysis (47) 。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報