シュッツ(読み)しゅっつ(英語表記)Alfred Schutz

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シュッツ(Alfred Schutz)
しゅっつ
Alfred Schutz
(1899―1959)

現代の現象学的社会学の出発点に位置する社会学者、哲学者。最晩年の数年を除き銀行家としても生活し、実務と研究を両立させた。ウィーンに生まれ、ニューヨークで没す。ウィーン大学でハンス・ケルゼンHans Kelsen(1881―1973)、ルードウィッヒ・フォン・ミーゼス、オットマール・シュパンらに就き、法律学と社会諸科学を学ぶ。大学時代、マックス・ウェーバーとフッサールの業績に深い関心を抱く。在世時に出版された唯一の著作『社会的世界の意味構成』(1932)によってフッサールとの交流が生まれ、両者の交わりはフッサールの死に至るまで続く。ヒトラーの進出に伴い、1938年パリに移住、翌1939年アメリカに渡り、以後アメリカ在住。ニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの大学院で教職につき、のちに教授。国際現象学会の設立に参加、『哲学と現象学的リサーチ』の編集スタッフにも加わる。
 シュッツの業績は、今日、メタ社会学、科学方法論、個別具体的な主題の社会学という三つの視点から検討されることもあるが、彼のパースペクティブ(視野)とアプローチにとくに大きな影響を与えているのはフッサールとM・ウェーバーであり、また、彼の業績にはベルクソンの強い影響、シェラー、W・ジェームズ、デューイ、クーリー、ミード、トマス、さらにサムナーそのほかの人々の影響がみられる。シュッツ独自の視点とアプローチは、日常生活の世界、常識の生活、常識によってたつ現実、知識、多元的現実、生活誌の状況、他者、レリバンス(有意性と訳されることもある)、サインやシンボル、動機と行為などに関する見解に、また、異邦人や帰郷者、ドン・キホーテや、モーツァルトの音楽などについての考察に明瞭(めいりょう)に認められる。前出の著作のほかに、死後、編集刊行された『レリバンスの問題についての考察』(1970)、3巻からなる『論文集』(1962~1966)などがある。[山岸 健]
『アルフレッド・シュッツ著、森川眞規雄・浜日出夫訳『現象学的社会学』(1980・紀伊國屋書店) ▽アルフレッド・シュッツ著、桜井厚訳『現象学的社会学の応用』(1980/新装版・1997・御茶の水書房) ▽佐藤嘉一訳『社会的世界の意味構成 ヴェーバー社会学の現象学的分析』(1982・木鐸社) ▽M・ナタンソン編、渡部光他訳『アルフレッド・シュッツ著作集』全4巻(1983~1997・マルジュ社)』

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