シュルツ(Bruno Shulz)(読み)しゅるつ(英語表記)Bruno Shulz

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シュルツ(Bruno Shulz)
しゅるつ
Bruno Shulz
(1892―1942)

ポーランドの小説家。ユダヤ人の家に生まれる。ウィーンの美術学校、ルブフ(現リボフ)の工業専門学校をそれぞれ中退、病気と貧困に悩まされながら中学教師を勤めていたが、ウクライナのドロホビチの路上でナチスの銃弾に倒れた。グラフィック・アーチストとして出発、ワルシャワの美術展に出品したほか、自身の本やW・ゴンブロビッチの挿画を描いている。文学活動は評論より始めた。生涯に『肉桂(にっけい)色の店』(1933)と『クレプシドラ・サナトリウム』(1937)の2冊の短編しか残さなかったが、自伝的モチーフに満ちたこの2作は不安と絶望に震える異端の文学として、ビトキェビッチ、W・ゴンブロビッチとともにポーランドの前衛的、非現実主義文学を確立した傑作として知られる。シュルツは『審判』の翻訳でカフカをポーランドに紹介した最初の人で、彼自身も「ポーランドのカフカ」と称される。

[吉上昭三]

『工藤幸雄訳「肉桂色の店 クレプシドラ・サナトリウム」(『東欧文学全集6』所収・1967・恒文社)』

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