普通の短編小説よりもさらに短い超短編小説の意味。日本の文庫本で1ページから数ページで収まる長さのもの。1930年代、アメリカの雑誌を舞台に発達し、イラストを含めて大判雑誌の1ページに収まる長さが標準とされ、サキ、O・ヘンリーがこの形態の先駆者。単に量的に短いだけでなく、短い物語のなかに新鮮なアイデア、完全なプロット、意外な結末の短編小説の三原則が盛り込まれる。
ショート・ショートは1940年代から50年代にかけて全盛期を迎え、とくにミステリーとSFの分野で流行し、ロバート・シェクリー、フレドリック・ブラウン、ロアルド・ダールRoald Dahl(1916―90)らの名手を生んだ。日本にこの形式が定着するのは、これら海外諸作家の作品が紹介された50年代からで、星新一、都筑道夫(つづきみちお)らミステリーやSFの作家たちが多数手がけるようになった。単なる「落ち」のある小咄(こばなし)、コントではなく、人生の一断面を小さな器(うつわ)に盛るところに真骨頂があり、ブラック・ユーモアと風刺性を持ち味とする。
[厚木 淳]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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