チュウシャクシギ(その他表記)Numenius phaeopus; whimbrel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チュウシャクシギ」の意味・わかりやすい解説

チュウシャクシギ
Numenius phaeopus; whimbrel

チドリ目シギ科全長 37~47cm。が長くて下側に湾曲し,ダイシャクシギホウロクシギに似るが,小型である。羽色眉斑と頭央線がくすんだ白色で,頭側と過眼線が暗褐色。頬,喉,腹はくすんだ白色だが,同じ色の頸,胸には褐色の縦斑が密にあり,脇には褐色の縞がある。背の白い亜種もいるが,一般に背,雨覆羽は褐色地で白斑がある。腰は白く,尾羽はくすんだ白地に褐色の縞がある。繁殖地はグリーンランド南端,アイスランドヨーロッパ北部,ロシア高緯度地方,アラスカ半島カナダ北西部とハドソン湾西部地方に不連続に位置する。巣はツンドラにつくり,繁殖地では無脊椎動物のほか漿果(→液果)も食べる。繁殖後は亜熱帯から南半球の沿岸に渡る。この時期の食べ物はカニが多く,嘴で泥の中を探ってとる。日本は春秋渡りの中継地で,干潟や岩礁地帯,河口,沼沢地などに小群で渡来する。「ぽっ,ぽっ,ぽっ」という清涼な声で鳴く。(→渉禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「チュウシャクシギ」の意味・わかりやすい解説

チュウシャクシギ (中杓鷸)
whimbrel
Numenius phaeopus

チドリ目シギ科の鳥。全長約42cm。くちばしが長くて下に湾曲したシギ。ユーラシア大陸および北アメリカ北部のツンドラ帯で繁殖し,冬はアフリカ,南アジア,オーストラリア,ニュージーランド,南アメリカなどに渡る。日本には旅鳥として全国に渡来し,数は少なくない。体の上面は黒褐色で淡色の羽線と斑点があり,黒褐色の頭側線および白い腰と上尾筒が目だつ。脚は青灰色,ツンドラの地上に営巣し,1腹4個のオリーブ褐色の地に黒褐色の斑紋のあるヨウナシ形の卵を産む。抱卵は雄雌交替でする。抱卵日数は21~25日。渡りのときには海岸や河口の干潟,入江砂浜,干拓地の草生地,海岸に近い水田,磯などにすみ,カニその他の小動物やバッタなどの昆虫を食べる。オオソリハシシギ,ホウロクシギなどと混群をつくり,長い距離を群飛するときには編隊を組む。飛び立つときや飛翔(ひしよう)中にピピピピピピピと鳴くのが特徴。この鳴き方から英名でseven whistlerの呼名もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュウシャクシギ」の意味・わかりやすい解説

チュウシャクシギ
ちゅうしゃくしぎ / 中杓鷸
whimbrel
[学] Numenius phaeopus

鳥綱チドリ目シギ科の鳥。ユーラシアの北部、アラスカ、ハドソン湾西海岸などで繁殖し、冬は南へ渡る。日本には旅鳥として春と秋に多数渡来する。全長約42センチメートル、嘴(くちばし)は長くて下に曲がっている。体は褐色で黒褐色の縦斑(じゅうはん)があり、腰の部分は白い。干潟や海岸の草地で、カニ、貝、バッタなどをあさる。ホウロクシギやオオソリハシシギと混群をつくり、飛び立つときや飛翔(ひしょう)中に、ピピピピピピピッと7回笛を鳴らすように鳴くのが、英語の異名seven whistlerの由来である。ツンドラの地上に巣をつくり、4個の卵を産む。

高野伸二


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百科事典マイペディア 「チュウシャクシギ」の意味・わかりやすい解説

チュウシャクシギ

シギ科の鳥。翼長24cm。大型のシギで,長く下に湾曲したくちばし,長い足と首をもつ。ユーラシアと北米の寒帯や亜高山のツンドラで繁殖し,冬季は南方へ渡る。日本へは秋と春に旅鳥として渡来する。越冬地では海岸の干潟,河口,マングローブ林などに多い。くちばしを泥の中へ差し込み,甲殻類,昆虫などを食べる。
→関連項目ダイシャクシギ

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