ツングース語系諸族(読み)ツングースごけいしょぞく(英語表記)Tungus

翻訳|Tungus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルタイ諸語の一つである満州=ツングース語を話す民族の総称。このなかにはエベンキ族エベン族,ネギダル族,ウリチ族,オロチ族,オロッコ族,ナーナイ族,ウデヘ族,満州族などが含まれ,その分布は全体としてきわめて広く,西はオビ,イルティシ両川から,東は太平洋沿岸に達するシベリア全域である。従来,これらの諸民族は言語上から南北2派に分けられるのが慣例であったが,近年にはこの2分法の少なからぬ問題点を排する試みとして満州語を用いる満州族とそれ以外の諸民族とに大別する分類がある。前者は,かつて朝を興して拡大したが,今日では中国東北地区と,シンチヤン (新疆) ウイグル自治区に住む。後者の諸民族はすべて旧ソ連領内に在住する。後者の用いる諸言語のみをさしてツングース語ということもあり,またさらにそれを細分してシベリア諸語とアムール諸語に分類できる。シベリア諸語を話す民族のうち最も広大な分布を有し,人口の多いのはエベンキとエベンで,かつてツングースと称されたのは主としてこの2民族である。生業は居住地域の自然環境や歴史的背景により地域的差異が著しいが,エベンキ,エベンでは主としてトナカイ飼養,狩猟が卓越しているのに対し,ナーナイ,オロチ,オロッコなどアムール諸語を話す民族では定住的な漁労,狩猟が基本をなしている。ツングース語系諸族の原郷地については諸説があるが,共通の言語,文化要素をもった集団がきわめて長期にわたって波動的な移動を繰返し,現今のような分布をなすにいたったことが言語をはじめ氏族名,物質文化,伝承などの比較研究,考古学,古代史学などから明らかにされつつある。

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百科事典マイペディアの解説

ロシア,シベリアのエニセイ川以東から中国東北地区に分布するツングース諸語を使用する人びと。多く狩猟およびトナカイ中心の遊牧生活を営む。またシャマニズム,至高神の観念が存在する。北方域に住む人びとはエベンキと自称,オホーツク海北岸域のエベン,サハリンなどに住むウイルタ,アムール川下流のナナイなどがあり,また中国東北地方に住む南方派には満州族ソロンなどがある。中国史上には【ゆう】婁(ゆうろう)・勿吉(もっきつ)・靺鞨(まっかつ)・女真・満州族などと呼ばれて現れ,および朝をつくった。
→関連項目アルタイ語系諸族契丹

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世界大百科事典 第2版の解説

ツングース諸語に属する言語を話す諸民族。かつてはツングース族(広義の)と呼ばれた。今日,その大部分ロシア連邦のシベリアと極東地域に住み,少数が中国の東北部,新疆ウイグル(維吾爾)自治区,内モンゴル自治区に居住する。ロシア領でツングース語を話す人口は全体で約4万(1979)である。ツングース諸語については,言語学上,北方群と南方群に分けるシレンクの先駆的提言をはじめ,別項の〈ツングース諸語〉に見られる分類など,いくつかの分類の試みがあるが,ここでは旧ソ連のツングース学者G.M.ワシーレビチの分類に基づいて説明する。

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