トウ(読み)とう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トウ
とう / 籐
[学]Calamus rotang L.

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)トウ亜科トウ属の一種。属名は葦(あし)、種名は杖(つえ)の意味である。インド原産。幹は細長く、他物についてよじ登り、または地をはい、長さ100メートル以上に及ぶ。幹肌には葉痕(ようこん)の環紋がある。葉は披針(ひしん)形、全裂の羽状葉で長さ40~80センチメートル、小葉は長さ15~30センチメートル、幅1.2~2センチメートル。葉軸、葉脈、葉柄、葉鞘(ようしょう)に鋭い刺(とげ)がある。葉柄は短く、葉鞘は長さ0.7~1メートル。雌雄異株で単性花をつける。雄性の肉穂花序は長さ0.6~1メートル、雄花は長さ2ミリメートル、花弁は舟形の披針形で、雄しべは6本、葯(やく)は矢じり状、不稔(ふねん)の雌しべがある。萼(がく)は鐘状。雌性の肉穂花序は長さ15~20センチメートル、雌花は円錐(えんすい)形で長さ3ミリメートル、6本の無葯の雄しべがある。包葉には無数の鋭い刺がある。果実は光沢のある褐色の鱗果(りんか)で径1.2~1.5センチメートル。種子は扁円(へんえん)形で径1センチメートル、胚(はい)は底部にある。材は耐久性が強く、強靭(きょうじん)で、機械、器具、家具のほか、籐椅子(とういす)やステッキなど工芸品にもよく用いられる。観賞用に栽培もされ、多湿にし、最低温度は10℃を要する。
 トウ亜科は724種を含み、熱帯・亜熱帯アジア、オーストラリアに分布する。[佐竹利彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のトウの言及

【直紡】より

…直接紡績の略。スパンレーヨンなどの製造において,数千本ないし数万本の長繊維束をゆるいロープの形にして巻いたトウtowを切断して,綿状のステープルファイバーにし,繊維を平行に並べ,伸ばし,撚り(より)をかけて精紡する。直紡においては,繊維をそろえて平行に並べて伸ばすカーディング操作が省略される。…

【紡績】より

…(1)繊維の長さによる分類 (a)短繊維紡績(繊維長約50mm以下),(b)長繊維紡績(繊維長約50mm以上)。(2)原料による分類 (a)綿糸紡績および落綿紡績,(b)毛糸紡績(梳毛(そもう)紡績,紡毛紡績),(c)絹糸紡績(長綿紡績,短綿紡績,紬糸(ちゆうし)紡績),(d)麻糸紡績(亜麻紡績,ラミー紡績ほか各種),(e)化学繊維の紡績(綿紡式,毛紡式,トウ紡績,直紡式)。 紡績法における短繊維,長繊維の区別は明確でなく,綿と同様な紡績法をとる場合は短繊維紡績,梳毛と同様な場合は長繊維紡績である。…

※「トウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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