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ドン・キホーテ Don Quixote

翻訳|Don Quixote

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドン・キホーテ
Don Quixote

スペインの作家セルバンテスの小説。前編 1605年,後編 15年刊。正しくは『奇想あふるる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』 El Ingenioso Hidalgo Don Quixote de la Mancha。騎士道小説を耽読して妄想にとらわれた郷士アロンソ・キハーダが,この世の不正を正そうと,みずから遍歴の騎士になってドン・キホーテを名のり,老馬ロシナンテにまたがり,現実主義的なサンチョ・パンサを従者に仕立てて冒険と失敗の旅を続ける長編小説。初めは『アマディス・デ・ガウラ』などの騎士道物語のパロディーとして意図されたものだが,理想と現実,詩的真実と歴史的真実を代表する2つの不朽の人物像をつくり上げ,世界文学史上の傑作となった。

ドン・キホーテ
Don Quixote

ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラの同名小説『ドン・キホーテ』をもとにしたバレエ。序章と 4幕 8場からなる。音楽レオン・ミンクス。振り付けマリウス・プティパ。1869年ボリショイ劇場で初演後,1871年マリインスキー劇場(→マリインスキー劇場バレエ団)で改訂再演し,これが今日に伝わる原典となった。キテリア(役名ではキトリ)とバジルの恋物語に,キホーテの想い姫ドルシネアをからませて構成。のちにアレクサンドル・ゴルスキーによる改訂版がロシア・バレエの十八番となったが,ルドルフ・ヌレエフら亡命者の手により欧米でも全幕上演されるようになり,人気作品の一つとなった。なおプティパ版以前にもジャン・ジョルジュ・ノベール(1750),ルイ・ミロン(1801),ポール・タリオーニ(1850)らによって同名のバレエがつくられている。

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百科事典マイペディアの解説

ドン・キホーテ

セルバンテスの小説《才智あふれる郷士ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ》および,その主人公。小説は〈前編〉と〈後編〉からなる。主人公はスペインの田舎の郷士で,騎士道物語を読みすぎて気が狂い,自ら遍歴の騎士となり,不正を正すために百姓サンチョ・パンサを従え,やせ馬ロシナンテにまたがって旅に出,さまざまな冒険に出会うが,最後には正気に返り騎士道物語を否定して死ぬ。
→関連項目ウナムノ黄金世紀小説セルバンテスティークドーミエドレラ・マンチャ

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とっさの日本語便利帳の解説

ドン・キホーテ

セルバンテス作『ドン・キホーテ』の主人公。騎士道物語を読みふけり、従者サンチョ・パンサを従えて騎士修業の旅に出る。ヨーロッパ文学では誇大妄想的理想家・行動家の典型

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デジタル大辞泉プラスの解説

ドン・キホーテ

株式会社ドン・キホーテが展開するディスカウントストアチェーン。全国各地に出店している。

ドン・キホーテ

フランス出身の舞踊家・振付家マリウス・プティパによるバレエ(1869)。原題《Don Quichotte》。モスクワのボリショイ劇場で初演。音楽はレオン・ミンクス。

ドン・キホーテ

1933年製作のフランス映画。原題《Don Quichotte》。監督:G・W・パブスト、出演:フェオドール・シャリアピン・Sr.、ドルビル、セエ・マルチネリほか。

ドン・キホーテ

ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスの交響詩(1896-97)。原題《Don Quixote》。セルバンテスの同名の小説に基づいて作曲された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドン・キホーテ
どんきほーて
Don Quijote

スペインの小説家セルバンテスの代表作。正式な題名を『才智(さいち)あふるる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』El ingenioso hidalgo Don Quijote de La Manchaといい、第一部が1605年に、そして第二部が1615年に出版された。物語はラ・マンチャに住む老いた郷士が、そのころ大流行していた騎士道物語を日夜読みふけったすえ、自ら遍歴の騎士となって世の中の不正を正し、虐げられた者を助けようと、ドン・キホーテと名のって旅立ち、行く先々で悲喜劇的な事件を引き起こす話である。
 作者は序文や第二部の最後で、この小説は「騎士道小説の権勢と人気を打倒するために」書いたといっているが、確かに、ドン・キホーテがひとりで遍歴の旅に出る第1回の出立を描いた最初の6章は、騎士道物語のパロディーといった感じが強い。だが、近所に住む百姓をサンチョ・パンサと命名して従者とし、近在の田舎(いなか)娘を思い姫ドゥルシネアと決めて旅に出る二度目の出立からは、対照的な性格をもつ主人ドン・キホーテと従者サンチョ・パンサの対話を中心にして、単なるパロディー以上の幅と厚みがこの小説に加わり、第二部に至ると、きわめて前衛的な近代小説の姿さえみせるようになる。
 あくまでも自己の理想に忠実であろうとするドン・キホーテと、五感で確かめられることしか信じようとしないサンチョ・パンサは、セルバンテスがこの作品で創造した2人の偉大な典型的人物であり、『ドン・キホーテ』のおもしろさは両者の繰り広げる対照の妙に負うところが多い。しかし、作中で描かれている2人をよくみると、その性格はかならずしも固定的なものではなく、長い道中の間で交わされる会話やさまざまな体験を通して両者が互いに影響しあい、ドン・キホーテがしだいに現実的な世界に近づくのに対して、サンチョのほうが逆にドン・キホーテ的な世界にあこがれるようになっていくのがわかる。つまりこれは、それまでの筋中心の物語にかわって、人物の創造や性格の変化に重点を置く近代小説の誕生を告げるものといえよう。
 理想と現実の相克、喜劇的なものから悲劇的なものへの転換、判断の相対性、といった永遠のテーマを含んだこの小説は、従来の物語概念を否定して近代小説を確立すると同時に、その最初にしてかつ最高の作品という評価をも獲得している。[桑名一博]
『会田由訳『世界文学大系15 ドン・キホーテ』(1972・筑摩書房) ▽会田由訳『世界文学全集3 ドン・キホーテ』(1979・集英社) ▽永田寛定訳『ドン・キホーテ』正編3冊・続編3冊(岩波文庫)』

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