パブ(その他表記)pub

翻訳|pub

デジタル大辞泉 「パブ」の意味・読み・例文・類語

パブ(pub)

public houseの略》英国の伝統的な大衆酒場。また、一般に洋風の居酒屋
[類語]酒場飲み屋割烹縄暖簾ビヤホールビヤガーデン居酒屋スナッククラブキャバレーバーレストラン料亭料理屋食堂飲食店飯屋喫茶店菜館飯店茶房茶店割烹店パーラーグリルカフェテリア

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精選版 日本国語大辞典 「パブ」の意味・読み・例文・類語

パブ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pub ) 英国の伝統的な大衆酒場。また、一般に洋風の居酒屋。
    1. [初出の実例]「パブ(酒場)やレストランも、十一時になると〈略〉椅子を片づけはじめ」(出典:マイク交友録(1963)〈藤倉修一〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「パブ」の意味・わかりやすい解説

パブ
pub

イギリスの酒場,パブリック・ハウスpublic houseの略。本来,パブリック・ハウスとは,認可を受けて酒類を提供する場所のことで,宿屋(イン),居酒屋(タバーン),ジン・ショップ,ビア・ハウスなどと呼ばれるものがあった。19世紀になってパブと略称で呼ばれるようになった施設は,都市に特徴的なものであり,産業革命によって農村から突然都市的な環境のなかに投げ込まれ,農業とは違って労働の時間と余暇とが明確に区別される工場労働を強いられた労働者の,余暇を過ごす場所となった。彼らは,ここで飲酒,歓談ばかりではなく,賭けごとを中心とするスポーツボクシング,闘鶏,ネズミ殺しなど),音楽や演芸を楽しみ,〈パブの文化〉とでも呼ぶべき生活文化を生み出した。パブは集会場でもあったから,各宗派の説教師たちもここを利用し,チャーチスト運動のような反体制運動の会合,友愛組合や労働組合の大会も,ここで開かれた。また,下層民相手の職業斡旋所ともなり,しばしば賃金の支払場所でもあった。ここで支払われた賃金が即座にアルコールに化けたことはいうまでもない。労働者の蝟集(いしゆう)する場所であったパブは,犯罪や売春の巣でもあった。したがって,〈パブの文化〉はピューリタン的な中産階級の強い批判にさらされもした。〈パブの文化〉に代わって,中産階級つまりブルジョアジーが労働者に強制しようとしたのは〈合理的娯楽〉とでもいうべき,アルコールや賭けを避けた〈健全な娯楽〉であったが,後者は容易に労働者には受け入れられず,余暇の過ごし方が19世紀における階級闘争の重要な一局面をなすに至った。

 もともと普通の家庭の一間を大きくしただけの構造であったパブが大型化し,ガラスなどを多用した豪華な内・外装をほどこし,〈ジン御殿gin palace〉などと呼ばれるほどの独立の建物になったのは1830年代で,このころから内部が仕切られ,パブとサルーン(いくらか上客向きの席で,同じ酒類がやや高く売られる)に区分されるようになった。しかし,ロンドンなどの大都会では,今ではこの区別のないパブが多くなっている。パブの経営者(パブリカン)の社会的地位は,地主に近い存在とされたインの経営者ほどではないが,かなり高く,地域の名士であった。しかし,19世紀のうちにほとんどのパブが大醸造会社によって系列化され,彼らの地位は急速に低下した。また,〈パブの文化〉も,たとえばミュージック・ホールという専門の演芸場や公立の集会場,〈合理的娯楽〉(賭け抜きのスポーツや旅行など)に機能の一部を奪われ,その社会的意義を減じたが,今もなお,地域社会結節点として命脈を保っている。
居酒屋
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パブ」の意味・わかりやすい解説

パブ
ぱぶ
pub

パブリック・ハウスpublic houseの略。本来、宿屋、ホテルの意味であったが、居酒屋や酒場をさすようになった。イギリスでは元来、宿屋innと居酒屋tavernとは別のものであったが、交通が未発達の時代には、旅行者のために食事や酒とともにベッドを提供する店が必要であったため、至る所に宿屋と居酒屋を兼ねる店ができた。これがパブリック・ハウスの起源であるが、17世紀になると、パブは、コーヒーと酒、とくにビールやワインを売る店をさすようになった。その後、高級な酒場はsaloon, saloon barとよばれ、パブは大衆向けの酒場を意味するようになった。同一の店で、パブとサルーンの二つの入口をもつものもある。日本のパブは1960年(昭和35)前後から流行し始め、バーとレストランがいっしょになったものである。

[村田仁代]

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百科事典マイペディア 「パブ」の意味・わかりやすい解説

パブ

英国における酒場の通称。元来は認可をうけて酒類を販売する場所の総称としてのパブリック・ハウスに由来するが,産業革命後,農村から切り離されて都市の生活に投げ込まれた労働者階級の人たちが余暇をすごすたまり場所として19世紀前半に都市で急速に発展した。そこでは飲食・歓談だけでなく,賭け事や演芸・音楽なども行われ,時として政治的な集会の場所ともなり,そこで生み出された〈パブの文化〉はしばしば中産階級の批判をうけた。〈二つの国民〉という英国における階級的な差別を反映して,内部が二つに分けられたものが多かったが,現在ではみられなくなっている。

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世界大百科事典(旧版)内のパブの言及

【スロバキア】より

…スロバキアの国土の大部分はドナウ水系に属している。西半分のバーフVáh川,ニトラNitra川,フロンHron川,イペリIpel'川などの河川は直接ドナウ川に注ぎ込み,それらの下流域には肥沃な沿ドナウ平野が広がっている。東半分にあるホルナートHornád川,オンダバOndava川などは,下流のティサ川(ハンガリー領)を通じてドナウ川につながっている。…

【チェコスロバキア】より

…1918年から92年まで続いた中欧の共和国。国名通称はチェコ語,スロバキア語ともČeskoslovensko。1920‐38年,1945‐60年の正式国名は〈チェコスロバキア共和国Českoslovká republika〉。1948年以後は社会主義体制をとり,60年からの正式国名は〈チェコスロバキア社会主義共和国Československá Socialistická republika〉。1969年よりチェコ社会主義共和国とスロバキア社会主義共和国の連邦制に移行したが,89年の〈東欧革命〉の進行過程で両共和国で連邦制の見直しが図られ,正式国名を〈チェコおよびスロバキア連邦共和国Česká a Slovenská Federativní Republika〉に変更した。…

※「パブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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