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フェライト ferrite

翻訳|ferrite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フェライト
ferrite

この語には次の両様の意味がある。 (1) 低温で安定なの同素体α鉄およびその固溶体。純粋のα鉄は軟らかく靭性があるが,固溶体では硬化する。体心立方晶で純鉄では 911℃以上で面心立方のγ鉄 (オーステナイト ) に同素変態する。鋼の合金元素にはフェライト領域を拡大するものとオーステナイト領域を拡大するものがあり,前者をフェライト生成元素といってタングステン,クロム,ケイ素が代表的な例である。炭素鋼では地鉄フェライトは最大 0.02%しか炭素を固溶しない。

(2) 金属Mの亜鉄酸塩 MO・γFe2O3 。 γFe2O3 は鉄錆や赤鉄鉱の αFe2O3 の強磁性同素体で,上記のMが Feであれば磁鉄鉱 Fe3O4 となる。Mは人工的にマンガン,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,マグネシウム,バリウム,カドミウムなどまたはその混合物で置換したものがつくられ,マンガンフェライト,コバルトフェライトなどと呼ばれる。強力な永久磁石や高透磁率合金として,高周波用磁心,コンピュータの記憶素子用材料など,電子工業に非常に多く用いられる (→酸化物磁石 ) 。

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知恵蔵の解説

フェライト

酸化第二鉄とMO(Mは、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル亜鉛など)が1対1でスピネル型の結晶を組み、磁性を備える化合物総称永久磁石として使われるハードフェライトと弱い磁場にも容易に反応し、トランス磁心磁気ヘッド材に用いられるソフトフェライトがある。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

フェライト(ferrite)

酸化鉄(Ⅲ)と金属との複合酸化物。一般式MO・Fe2O3(Mは二価の金属)で表される。磁鉄鉱などがあり、磁性材料として広く利用。
常温で強磁性をもつ体心立方構造のα(アルファ)鉄、およびそれに微量炭素などが溶解した固溶体

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百科事典マイペディアの解説

フェライト

(1)α鉄の金属組織学上の名。結晶構造は体心立方格子。910℃以下では安定。やわらかく展延性大。炭素を微量固溶する。磁心用の電磁鋼板(ケイ素鋼板),フェライト系ステンレス鋼板などがある。
→関連項目健康ブレスレットセメンタイト耐熱鋼TDK[株]ニッケル・クロム鋼パーライト変圧器

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岩石学辞典の解説

フェライト

この語は研究分野によって様々に使われる.(1) 赤褐色非晶質の変質形成物でおそらく鉄化合物と思われるが,一般の光学的方法では同定ができない物質を記述する語である[Vogelsang : 1872, Johannsen : 1931].しかし実際には使用されなかった.(2) よく膠結し鉄を含む砂岩をいう[Tieje : 1921].(3) 鉄(III)酸塩のことをいい,普通はM2+O・Fe2O3の型の二価金属の塩をさす.(4) α鉄およびこれに他元素が固溶した組織名をいう.(5) 近年はフェライトといえば磁性材料を指すことが普通である.ラテン語でferrumは鉄の意味である.

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栄養・生化学辞典の解説

フェライト

 二価の遷移金属の鉄 (III) 酸塩.また,α鉄,δ鉄をいうこともある.

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世界大百科事典 第2版の解説

フェライト【ferrite】

(1)原子配列が体心立方格子をなす鉄鋼の相(組織)の名称。鉄,ニッケル,クロムなどの原子は格子点および中心に,炭素や窒素のような原子半径の小さい原子は格子間に入る。純鉄の場合はおよそ910℃以下(α鉄)および1390~1540℃の範囲(δ鉄)でフェライトとなる。炭素鋼や低合金鋼をオーステナイト状態からゆっくり冷却するとセメンタイトと共存するフェライト,すなわちパーライトが得られる。ケイ素,クロム,モリブデンなどの元素を多く添加するとフェライト領域が広がる。

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大辞林 第三版の解説

フェライト【ferrite】

一般に酸化鉄(Ⅲ)を一成分とする複合酸化物およびその誘導体。特に M を二価の金属元素として MO・Fe2O3 で表される酸化物をいう。磁鉄鉱など。フェリ磁性を示すものが多く、高周波用変圧器・ピック-アップ・テープ-レコーダーの磁気ヘッドなどに広く用いられる。
純粋な鉄( α 鉄)。また、これに他の元素を微量に含む固溶体。耐熱性・耐食性に優れている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フェライト
ふぇらいと
ferrite

(1)3価の鉄の酸化物(Fe2O3)と二価金属の酸化物(FeO, CoO, ZnO, BaOなど)との複合酸化物で、磁性材料に使用されている。砂鉄の主成分のマグネタイト(Fe3O4)はFe2O3とFeOよりなるフェライトである。
 フェライトの代表的な結晶構造はスピネル型であって、酸素イオンが面心立方晶の結晶格子を構成し、金属イオンは4個の酸素イオンに囲まれた四面体位置か、または6個の酸素イオンに囲まれた八面体位置に配列する。これらの金属イオンの種類と組成を調整することによって、フェライトは多種多様な磁気特性を示す。しかも安価であるために、マグネットや磁気テープなどに大量に利用されている。
 フェライトを製造するには、まず、酸化物または炭酸塩の混合物を高温で焼成し、細かに粉砕してフェライト粉末をつくる。これを結合剤と混ぜて、ビニル・テープに塗布したものが磁気テープである。また、粉末をプレスで圧縮成型して高温で焼結し、磁化するとマグネットが得られる。
 フェライトの開発は1932年(昭和7、特許公告)東京工業大学の加藤与五郎と武井武がOP磁石(Fe2O3とCoOとのフェライト)を発明したことが端緒となり、それ以後、各国において組成制御による特性向上が行われて、各種のフェライトに発展した。
(2)体心立方晶の鉄をα(アルファ)鉄、またはフェライトという。これを910℃以上の温度に加熱すると、結晶構造が面心立方晶に変化して、γ(ガンマ)鉄(オーステナイト)となる。鉄鋼材料は鉄を基本素材として、これに炭素、クロム、ニッケルなどを合金させて、目的に応じた性能を示すように調製されている。添加元素があまり多量でない鉄鋼材料は、α鉄すなわちフェライトを基質(マトリックス)として、その中に粒状または板状の炭化物が分布したような組織に調整される。この種の鋼をフェライト鋼と総称する。これに対して、ニッケルやクロムを多量添加して、面心立方晶のオーステナイトが主体となるように調整した鋼をオーステナイト鋼という。[西沢泰二]

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