プレストン(その他表記)Preston

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プレストン」の意味・わかりやすい解説

プレストン
Preston

イギリスイングランド北西部,ランカシャー県県都。プレストン地区を構成する。マンチェスターの北西約 50km,リブル川最下流部に臨む港湾都市で,リブル川は市の下流で三角江(エスチュアリー)をなしてアイリッシュ海に注ぐ。ローマ時代の要塞の近くに形成された町で,イングランドの南北を結ぶ主要交通路に沿っていたことから,中世には交易中心地として発展し,1179年に最初の勅許状が与えられた。15世紀末以降のチューダー朝時代にはこの地方の商業中心地として繁栄し,毛織物リンネルなどの生産も盛んとなった。1777年最初の綿糸紡績工場が建設され,以後綿糸の生産が飛躍的に増大。1843年には港湾施設が拡充され,石炭,綿製品,原料などの取り引きが行なわれるようになった。綿織物工業は斜陽化したが,機械,自動車,航空機,化学,造船,化学繊維,製紙など多様な工業があり,また背後にファイルドと呼ばれる農業地帯を控え,農産物家畜集散地としても重要。聖ジョン聖堂(1855)をはじめとする多数の聖堂や,ハリス美術・図書・博物館(1879)がある。地区面積 142km2。地区人口 13万1000(2004推計)。都市人口 18万4836(2001)。

プレストン
Preston, Lewis Thompson

[生]1926.8.5. ニューヨーク,ニューヨーク
[没]1995.5.4. ワシントンD.C.
アメリカ合衆国の銀行家。1991~95年,国際復興開発銀行(世界銀行)総裁を務めた。ソビエト連邦崩壊に伴って 23ヵ国が世界銀行に新規加盟した重要な時期に,総裁の任にあたった。貧困削減計画の支援に力を入れ,環境事業,保健,教育,家族計画向けの融資を大幅に拡大した。また融資先諸国に対する助言的な機能の拡充,特に各国の公共部門の再編に尽力した。費用対効果比の向上に努め,1991年の総裁着任直後に約 240の上級職を廃止,1994年には 6%の予算削減を発表した。ハーバード大学卒業後,40年にわたってウォール街屈指の名門投資銀行J.P.モルガン・アンド・カンパニーに在籍し,副社長,社長,会長兼最高経営責任者 CEO歴任。ギャランティ・トラスト買収後の同社経営陣を説得して未開ユーロ・ダラー市場(→ユーロ・ダラー)に参入し,J.P.モルガンを繁栄に導いた。J.P.モルガンでは 200万ドルの年俸を得ていたといわれるが,ジョージ・H.W.ブッシュ大統領の要請に応じて年俸 28万5000ドルの世界銀行総裁に就任した。癌治療中の 1995年3月に総裁を辞任した。

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改訂新版 世界大百科事典 「プレストン」の意味・わかりやすい解説

プレストン
Preston

イギリス,イングランド北西部,ランカシャー西部にある港湾・工業都市州都地名は〈聖職者priestの村〉の意。人口26万4601(2001)。リブル川下流北岸に位置し,河港を有して綿,レーヨン,航空機,自動車,化学などの工業が立地する。古来交通の要地で,ローマ時代には郊外に駐屯地があった。中世以降,周辺農業地帯の市場町として発展,毛織物工業も興ったが,1777年に綿紡績工場が建設されてから近代工業都市へ脱皮した。ピューリタン革命時(1648)の戦い,12世紀以来のギルドの存在,イングランドでのカトリックの一中心などでも知られる。紡績機の発明者R.アークライトの出身地。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレストン」の意味・わかりやすい解説

プレストン
ぷれすとん
Preston

イギリス、イングランド北西部、ランカシャー県の県都で港湾・工業都市。人口12万9642(2001)。マンチェスターの北西45キロメートル、リッブル川に面し、アイリッシュ海と結ばれた河港がある。古くは農産物の集散地であったが、18世紀末にランカシャー最初の綿紡績工場がつくられ、現在も綿工業のほか、織物機械、航空機、電気機器、造船などの工業が盛ん。紡績機械発明者アークライト出生の地でもある。

[井内 昇]

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百科事典マイペディア 「プレストン」の意味・わかりやすい解説

プレストン

英国,イングランド北西部,リブル川河口に位置,アイリッシュ海に面するランカシャー州の州都。綿工業が盛んでほかにレーヨン・造船・機械工業などもある。イングランドにおけるカトリックの中心地のひとつ。18万5000人(2001)。
→関連項目ランカシャー

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