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マグネシウム magnesium

翻訳|magnesium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マグネシウム
magnesium

元素記号 Mg ,原子番号 12,原子量 24.3050。周期表2族。天然には炭酸塩,硫酸塩ケイ酸塩などとして多量に産する。地殻存在量 2.33%,海水中の含有量 1290 mg/l 。植物の葉緑体中にはクロロフィルとして存在する。動物の生理にも重要な役割を果している。マグネシウムの化合物は古くから知られていたが,1808年に H.デービーによって単体金属が得られた。工業的には塩化物溶融塩電解法フェロシリコンの熱還元法の2法によって製錬されている。金属は銀白色軽金属。融点 650℃,比重 1.741。マグネシウム合金はすぐれた可削性,軽さ,強度をもつ構造材料として需要は著しい。航空機をはじめ,各種輸送機械,紡績,光学器械などに用いられるほか,還元冶金,電気防食などにも応用されている。

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デジタル大辞泉の解説

マグネシウム(magnesium)

金属元素の一。単体は銀白色で軽く、展延性に富む金属。リボン状・粉末状にしたものは閃光(せんこう)を発して燃える。菱苦土石(りょうくどせき)・苦灰石などに含まれ、地殻中に広く分布し、海水中にはナトリウムに次いで多く存在。動植物体では重要な構成成分の一。工業的には塩化マグネシウム電気分解などで還元して得る。写真撮影のフラッシュ、純金属製造用の還元剤軽合金に利用。元素記号Mg 原子番号12。原子量24.31。

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百科事典マイペディアの解説

マグネシウム

元素記号はMg。原子番号12,原子量24.304〜24.307。融点650℃,沸点1095℃。アルカリ土類金属元素の一つ。古くからその存在は知られていたが,1808年デービーが初めて金属を分離。

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栄養・生化学辞典の解説

マグネシウム

 原子番号12,原子量24.3050,元素記号Mg,2族(旧IIa族)の元素.必須ミネラル.多くの酵素の活性に必要.欠乏すると,痙攣などを起こす.ヒト血清の正常値は,1.5〜2.5mEq/l.第六次改定日本人の栄養所要量は18〜29歳の男性で1日に310mg,女性で250mgとされている.

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食の医学館の解説

マグネシウム

体内で約300もの酵素の活性化をになっており、筋肉の収縮をうながしたり、神経の興奮を鎮める、体温や血圧を調節するなどの作用をもちます。マグネシウムが不足すると、筋肉の収縮がうまくいかなくなって、手足にふるえやけいれんが現れます。これが血管で起こると、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)につながりかねません。また、神経の働きにも影響がでて、イライラしたり興奮しやすくなります。
 マグネシウムはカルシウム以上に不足しがちなミネラルです。とくに、ストレスの多い人、加工食品やお酒の好きな人、外食の機会が多い人は、積極的に摂取するべき。また、マグネシウムはカルシウムとの摂取比率がたいせつで、Ca対Mg=2対1の比率が理想的とされます。
 マグネシウムはコンブ、ホウレンソウ、ヒジキなどに多く含まれており、成人1日あたりの推奨量は男性320~370mg、女性270~290mgです。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典の解説

マグネシウム【magnesium】

主要ミネラルのひとつ。元素記号はMg。カルシウムリンとともに、骨や歯に不可欠な栄養素。魚介類、種実類、豆製品、海藻類などに多く含まれる。体内で化学反応を促す約300種類の酵素の働きを助ける重要な役割をもち、エネルギー代謝核酸合成に関わるなど多種多様な代謝に深く関与するほか、エネルギー産生、筋肉の収縮調節、血圧の正常化、体温調節、虫歯予防、動脈硬化高血圧心臓病の予防などに効果があるとされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

マグネシウム【magnesium】

周期表元素記号=Mg 原子番号=12原子量=24.305地殻中の存在度=2.33%(7位)安定核種存在比 24Mg=78.60%,25Mg=10.11%,26Mg=11.29%融点=651℃ 沸点=1107℃比重=1.74電子配置=[Ne]3s2 おもな酸化数=II周期表の第IIA族に属するアルカリ土類金属の一つ。天然には炭酸塩,硫酸塩,ケイ酸塩,塩化物などの形のマグネシウム鉱物として広く分布する。

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大辞林 第三版の解説

マグネシウム【magnesium】

金属元素の一。 2 族に属するが、普通、アルカリ土類に入れない。元素記号 Mg  原子番号12。原子量24.31。菱苦土りようくど石・ドロマイト・滑石などを主鉱物として産出。海水中には陽イオンとしてナトリウムに次いで多量に含まれる。クロロフィルの中心金属イオンになるなど、生物体にとって必須の微量元素。精製されたものは銀白色で展性・延性に富む。強い光を放って燃え、また、多くの金属酸化物を還元する。ゲッター・還元剤のほか、軽合金の材料として用いられる。 〔「麻倔涅叟母」とも当てた〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マグネシウム
まぐねしうむ
magnesium

周期表第2族に属し、アルカリ土類金属元素の一つ。[鳥居泰男]

歴史

化合物としては硫酸塩七水和物すなわちエプソム塩が、1695年にN・グルーによって単離されており、また1707年にはバレンチンM. B. Valentineが、チリ硝石を処理したあとの母液から塩基性炭酸マグネシウムを取り出している。これはマグネシアアルバmagnesia albaの名で万能薬として用いられていた(アルバは白いを意味する)。マグネシアmagnesiaということばは小アジアの王国リディアの一古代都市の名称で、元素名としてのマグネシウムの語源と考えられるが、古くはいくつかの異なった物質の名称に冠せられていたようである。マグネシアは今日では酸化マグネシウムをさすが、これとても1755年にイギリスのJ・ブラックが明らかにするまでは石灰すなわち酸化カルシウムと混同されていた。1808年イギリスのH・デービーは、酸化マグネシウムの電解によってマグネシウムアマルガムを得、これを蒸留して金属を単離している。さらに1831年にフランスのビュッシーAntoine-Alexandre Bussy(1794―1882)は、塩化マグネシウムをカリウムで還元することによって、ほぼ純粋な金属を塊状で得ることに成功した。1833年にはイギリスのM・ファラデーが、また、1852年にはドイツのブンゼンが、塩化マグネシウムの融解電解によって金属マグネシウムを得ているが、1886年にドイツでカーナル石KClMgCl26H2Oの融解電解に成功して以来、工業的に生産されるようになった。[鳥居泰男]

存在

天然に遊離状態では産出しないが、地球上に広く多量に分布している。菱苦土(りょうくど)石、カーナル石、苦灰石(ドロマイト)、滑石、蛇紋(じゃもん)石、石綿などが主要な鉱石であるが、輝石、角閃(かくせん)石などにも含まれる。また可溶性塩類として海水、鉱泉などにも存在している。海水からの効率的・経済的な抽出法が考案されたことにより、マグネシウムの供給は事実上無限と考えられる。また、植物の葉緑素の中にはクロロフィルとして含まれ、動物の生理にも重要な役割を果たしている。[鳥居泰男]

製法

工業的には無水塩化マグネシウムの融解塩電解法と、炭素による高温還元あるいはカーバイド、フェロシリコンなどによる還元法がある。無水塩化マグネシウムは、カーナル石、にがりあるいは海水から直接とるが、酸化マグネシウムを塩素化してつくることもある。また、クロール法によるチタン製造の際の副生塩化マグネシウムも使われる。電解浴はMgCl2NaClKClあるいはMgCl22NaClなどの形で660~750℃で電解する。電解槽は鉄または耐火れんが張りで、陽極は黒鉛、陰極は鉄製である。
 フェロシリコンによる還元法は、発明者の名にちなんでピジョン法とよばれている。ドロマイトMgCO3CaCO3を焼成したものに75%ケイ素のフェロシリコン(ケイ素鉄)を加えてブリケット(団鉱)とし、耐熱鋼のレトルトの中に入れて1200℃で熱還元する。これを水銀柱0.001ミリメートル程度の真空で蒸留し、マグネシウムを留出させる。この方法で純度99.7%程度のものが得られる。
 炭素による還元は1900~2400℃で行い、生成したマグネシウム蒸気と一酸化炭素を大量の水素ガスで急冷し、得られたマグネシウム粉末を蒸留し、融解してインゴットとする(純度約90%)。この方法は操作が危険で純度もあまりよくないので、現在ではほとんど行われていない。
 電解マグネシウムの純度は99.90~99.97%程度で、不純物は銅、マンガン、鉄、ケイ素、鉛などである。これらを除去するため、比較的低温で真空蒸留すると99.99%の製品が得られる。[鳥居泰男]

性質

銀白色の軽い金属で、かなりの展延性があり、薄い箔(はく)や細い針金にすることができる。空気中では表面に酸化物の薄い被膜ができるので光沢がしだいに鈍くなるが、それが内部を保護することになるので比較的安定である。したがって通常の金属マグネシウムは冷水とは反応せず、熱水で初めて反応する。
  Mg+H2O―→MgO+H2
 アマルガムにすると冷水とも激しく反応し、また粉末状のものは熱水中で水素を発生して水酸化マグネシウムを生ずる。
  Mg+2H2O―→Mg(OH)2+H2
 通常、希薄な酸には水素を発生して溶ける。濃硫酸とは二酸化硫黄(いおう)、硫化水素を発生して反応し、濃硝酸とは酸化窒素と少量の窒素、一酸化二窒素、水素を発生して反応し、硝酸アンモニウムをも生成する。希硝酸には水素と二酸化窒素を発生して溶ける。アルカリ水溶液には溶けないが、アンモニウム塩が共存すると溶解する。水銀とアマルガムをつくるほか、多くの金属と合金をつくる。エーテル溶液中で多くの有機ヨウ素化合物と反応し、ヨウ化アルキルマグネシウムをつくる。
 薄い箔または粉末を空気中で強熱するとまばゆい光を放って燃え、酸化マグネシウムを生じ、一部は窒化マグネシウムとなる。窒素とは高温で直接反応する。そのほか適当な温度を与えれば、ハロゲン元素、硫黄、炭素、ケイ素、ホウ素などとも直接反応する。[鳥居泰男]

用途

マグネシウムリボンあるいはマグネシウム粉末としてフラッシュランプ、ゲッター、断熱材などに用いられることはよく知られている。また、チタン、ジルコニウム、ベリリウムなどの純金属製造用還元剤、電気防食などにも使われる。各種マグネシウム合金は実用合金のなかでもっとも軽いので、その特徴を生かして広く使われている。グリニャール試薬としての用途もある。[鳥居泰男]

人体とマグネシウム

マグネシウムは、人体に約25グラム含まれ、骨にその60~65%が存在し、残りは筋肉、脳、神経、体液などに分布している。生理作用は、骨や歯を形成し、多くの酵素の形成成分として糖質・脂質の代謝などにおける酵素作用の活性化、体内でのタンパク質の合成などに必要である。カルシウムと似た作用があり、とくに骨格においてはカルシウムと拮抗(きっこう)性があることが知られている。食品には動植物全体に分布し、普通の食事から必要な量がほぼとれている。欠乏症は血中脂質の上昇、食欲不振、筋肉痛などがある。腎(じん)機能障害によって過剰症が発症することがある。「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)により、食事からとるべき量については目安量や推奨量が、また、通常の食品以外からの摂取量の上限量が設定されている。[河野友美・山口米子]
『日本マグネシウム協会マグネシウム技術便覧編集委員会編『マグネシウム技術便覧』(2000・カロス出版) ▽根本茂著『初歩から学ぶマグネシウム――一番軽い金属構造材』(2002・工業調査会) ▽糸川嘉則編『ミネラルの事典』(2003・朝倉書店) ▽日本塑性加工学会編『マグネシウム加工技術』(2004・コロナ社) ▽外須美夫編『マグネシウムの基礎と臨床 日常診療および周術期における役割』(2005・真興交易医書出版部) ▽三宅洋左著『知っておきたいマグネシウムの役割 骨粗鬆症・心疾患(虚血性)・肥満予防のための食事』増補(2005・けやき出版) ▽菱田明・佐々木敏監修『日本人の食事摂取基準2015年版――厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書』(2014・第一出版)』

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世界大百科事典内のマグネシウムの言及

【海水】より

…これらのイオンは,周囲に水分子を強く引きつけ溶液中に単独で安定に存在している。 2価のイオン,例えばマグネシウムイオンMg2+と硫酸イオンSO42-になると,溶液中で単独の水和イオンとして存在するとともに,イオン間に引きあう力が働いて接近し,見かけ上,電荷をもたない硫酸マグネシウムMgSO40となっている部分ができる。これをイオン対と呼んでいる。…

【軽金属工業】より

…金属工業のうち,比重の比較的小さい金属,すなわち軽金属を扱う工業。軽金属には,アルミニウム,マグネシウム,チタン,ベリリウム,リチウムなどがあるが,とくにアルミニウムは鉄に次いで生産量が多く,軽金属の代表であるので,ここではアルミニウム工業を中心に述べる。
[アルミニウム]
 原鉱石(ボーキサイトなど)からアルミナAl2O3を製造する化学的工程と,その電解工程(アルミ1t当り約1万5000kWhを要する)の2過程を要する高度な電気化学工業で,その発達には苛性ソーダ,フッ化物,電力など関連工業の発達,高品位の原鉱石ボーキサイト(Al2O350%以上含有)と,豊富で安価な発電地帯を有することが条件となる。…

※「マグネシウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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