日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミード(George Herbert Mead)
みーど
George Herbert Mead
(1863―1931)
アメリカの哲学者、社会心理学者。W・ジェームズの影響を受けるとともに、J・デューイに影響を与え、プラグマティズムの展開のなかで重要な位置を占める。マサチューセッツ州に生まれる。オベリン大学卒業後、ハーバード大学大学院で学ぶ。3年間のヨーロッパ留学ののち、1891年ミシガン大学講師、1892年シカゴ大学に移り、亡くなるまで教授として教壇に立った。精神(心)や自我が言語(有意味シンボル)による他人との社会的交渉のなかから生まれることを明らかにし、社会的行動主義とよばれる理論を創唱した。また彼の哲学は客観的相対主義の立場にたつ。消化器官があって初めて食物が存在しうるように、対象や価値は客観的であると同時に、自然における諸条件の組合せの下でのみ発現する相対的なものであるとされる。死後出版された『現在の哲学』(1932)、『精神・自我・社会』(1934)、『19世紀の思想の動き』(1936)、『行為の哲学』(1938)は、近年広く社会学者たちの注目を集めている。
[魚津郁夫]
『稲葉三千男・滝沢正樹・中野収訳『現代社会学大系10 ミード――精神・自我・社会』(1973・青木書店)』
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