ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レンカク」の意味・わかりやすい解説
レンカク
Hydrophasianus chirurgus; pheasant-tailed jacana
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チドリ目レンカク科Jacanidaeの鳥の総称,またはそのうちの1種をさす。この科(英名jacana)はサハラ以南のアフリカ,アジア南部,オーストラリア,中央・南アメリカなどに分布し,6属7種がある。全長約17~55cm。クイナ類に似た形で,額板をもち,あしゆびが非常に長い。翼角の部分につめ状の突起がある。浅い湖沼や湿地の水草の茂った場所に好んですみ,長いあしゆびでスイレンなどの葉の上を軽々と歩いて,水生昆虫や貝などの動物質の餌をあさる。水草の上に簡単な巣をつくり1腹4個の卵を産む。抱卵や育雛(いくすう)はおもに雄が行い,種によっては1雌多雄の繁殖習性がある。卵からかえった雛は綿羽が乾くとすぐに親鳥に連れられて巣を離れる。
アフリカにはヒメレンカクMicroparra capensis,アフリカレンカクActophilornis africana,マダガスカルレンカクA.albinuchaの3種,メキシコから南アメリカにはアメリカレンカクJacana spinosa,インドから東南アジアにはレンカク,マミジロレンカクMetopidius indicusの2種,インドネシアからニューギニア,オーストラリアにはトサカレンカクIrediparra gallinaceaがそれぞれ分布している。レンカクHydrophasianus chirurgus(英名pheasant-tailed jacana)はインド,中国南部,台湾,フィリピンに分布し,ほとんど留鳥である。日本にはまれに渡来する。夏羽では頭から前頸(ぜんけい)は白く後頸は黄色,体は黒褐色で翼の大部分は白く,初列風切の先は黒い。尾は長くのびる。冬羽では色が鈍くなり尾は短い。池,湿地,浅い湖沼にすみ,繁殖期にはよく争う。ビービーと鳴く。
執筆者:高野 伸二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
広義には鳥綱チドリ目レンカク科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Jacanidaeの仲間は、アジア南部からオーストラリア、アフリカ、マダガスカル島、中央・南アメリカ、西インド諸島などに分布し、7種が知られている。全長16~55センチメートル。バンやクイナに似た体形で、足の指がとくに長い。沼沢地にすみ、水草の茂った水面を歩き回って生活する。巣も水草の上につくり、抱卵と育雛(いくすう)はおもに雄の仕事である。
種のレンカクHydrophasianus chirurgusはインド、東南アジア、中国東部など熱帯地域に分布しており、日本ではおもに南日本にまれに渡来するのみである。全長55センチメートル。体の背面、胸は黒褐色、顔からのど、腹は白色、後頸(こうけい)は黄橙(こうとう)色。尾は黒褐色で長い。水生昆虫や、植物の種子などを食べる。
[柳澤紀夫]
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