三光(読み)サンコウ

デジタル大辞泉 「三光」の意味・読み・例文・類語

さん‐こう〔‐クワウ〕【三光】

太陽と月と星のこと。
きらきらと光り輝く、りっぱな細工物
三光鳥」の略。
《鳴き声を「つきひほし」と聞きなしたところから》飼いウグイスの鳴き声。また、そのように鳴くウグイス。
「あれは世間に重宝する―とやらいふ鳥であらう」〈続狂言記・鶯〉

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精選版 日本国語大辞典 「三光」の意味・読み・例文・類語

さん‐こう‥クヮウ【三光】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 太陽・月・星のこと。
      1. [初出の実例]「列位三光転、因時万物通」(出典:経国集(827)一四・奉試詠天〈小野岑守〉)
      2. 「月日と星の三光の、一度にさすかと身にこたへ」(出典:浄瑠璃・信州川中島合戦(1721)三)
      3. [その他の文献]〔礼記‐郷飲酒〕
    2. さんこうちょう(三光鳥)」の略。
      1. [初出の実例]「三光は、啼時に月日星といふなるよし。むつかしとも思はめや」(出典:俳諧・本朝文選(1706)三・譜類・百鳥譜〈支考〉)
    3. ( 鳴き声を「つきひほし」と聞いたところから ) 飼鶯の中で、その鳴き声がもっともよいものの称。また、その鳴き声をいう。
      1. [初出の実例]「鶯の子を三光(サンコウ)に付ると、かならず其声を囀ぞかし」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)二)
    4. きらきら輝く見事なもののたとえ。一説に、蒔絵(まきえ)師三光斎の細工物。
      1. [初出の実例]「こりゃこれ、母様のお形見の、三光(さんクヮウ)のこの差し櫛」(出典:歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)二幕)
    5. 江戸末期、大坂地方で流行した一六、七歳の女子の結ったまげ。
      1. 三光<b>⑤</b>〈風俗画報〉
        三光風俗画報
    6. 茶道で、水指(みずさし)とその前に置いた茶器・仕込茶碗の三つのこと。
    7. めくりカルタの出来役の一つ。あざ・青二・釈迦十の三枚がそろうこと。団十郎
      1. [初出の実例]「此坊主は釈迦の十、青二才の阿根輪め、合せて三光(サンクヮウ)百づつと」(出典:浄瑠璃須磨都源平躑躅(1730)四)
    8. 花札の出来役の一つ。松の二〇点札、梅の一〇点札、桜の二〇点札がそろうこと。表菅原(おもてすがわら)。また、「六百けん」「こいこい」では、松・桜・坊主・桐の各二〇点札の中の三枚がそろうことをいう。
    9. さんこうじょう(三光尉)」の略。
    10. ( 「光」は…しつくすの意 ) 殺しつくし(殺光)、焼きつくし(焼光)、奪いつくす(略光)の意で、第二次世界大戦中に中国を占領した日本軍の行動を中国人が告発していったことば。
  2. [ 2 ] オリオン座の三つ星。からすきぼし。〔物類称呼(1775)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三光」の意味・わかりやすい解説

三光
さんこう

大分県北部、下毛(しもげ)郡にあった旧村名(三光村(むら))。現在は中津市(なかつし)の北西部を占める地域。旧村名は合併3村(深秣(みまくさ)・山口・真坂(まさか)村)の融和発展を念願して命名。2005年(平成17)中津市に編入。中央南部に八面山(はちめんざん)(659メートル)のメサがそびえ、東部・中部は犬丸(いぬまる)川、西部は山国(やまくに)川の流域。国道212号が山国川沿いに走る。米麦、野菜、ブドウ、タバコ作、養蚕、肥育牛などの畜産が主産業。西秣(にしまぐさ)長谷寺(はせでら)の銅造観音菩薩(かんのんぼさつ)立像は県指定文化財。

[兼子俊一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三光」の意味・わかりやすい解説

三光
さんこう

大分県北西部,中津市北東部の旧村域。中津平野の南西部にあり,西で福岡県に接する。八面山から発する犬丸川が北東へ流れ,福岡県境を山国川が北流する。 1954年真坂村,山口村,深秣村の3村が合体して三光村が成立。 2005年中津市に編入。米作を中心に野菜の施設栽培などの多角的農業が行なわれる。南端の八面山北麓にキャンプ場があり,周辺は耶馬日田英彦山国定公園に属する。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「三光」の解説

三光

正式社名「三光株式会社」。英文社名「SANKO CO., LTD.」。卸売業。昭和21年(1946)「三光商会」創業。同24年(1949)設立。本社は福岡県久留米市通町。化学品専門商社。工業薬品合成樹脂が主力。研究・開発・製造を行う製造部門を併営。ドイツ・米国・タイ・中国に営業拠点を展開。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「三光」の解説

さんこう【三光】

岡山の日本酒。酒名は、蔵の前にある、「月、日、星」となく三光鳥が棲むといわれていた三光山に由来。「にごり原酒」「生酒」などがある普通酒。味わいは甘口。仕込み水は神代川の伏流水。蔵元の「三光正宗」は大正2年(1913)創業。所在地は新見市哲西町上神代。

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改訂新版 世界大百科事典 「三光」の意味・わかりやすい解説

三光 (さんこう)

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普及版 字通 「三光」の読み・字形・画数・意味

【三光】さんこう

日月星。

字通「三」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の三光の言及

【三光政策】より

…日中戦争後半期に日本軍がとった燼滅(じんめつ)作戦に対する中国側の呼名。三光とは中国語の焼光(焼きつくす),殺光(殺しつくす),搶光(奪いつくす)の三つを指す。1940年後半,中国の八路軍は百団大戦と呼ばれる作戦を展開,日本軍に大きな打撃を与えた。…

※「三光」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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