下される(読み)クダサレル

デジタル大辞泉 「下される」の意味・読み・例文・類語

くださ・れる【下される】

[動ラ下一][文]くださ・る[ラ下二]動詞くだ(下)す」の未然形助動詞れる」が付いたものから》
《「れる」が尊敬の意の場合》「与える」「くれる」の尊敬語。「くださる」よりも敬意が強い。「校長先生がご褒美を―・れた」
《「れる」が受身の意の場合。上位者から与えられるというところから》「もらう」の謙譲語。いただく。
「経正御すずり―・れて」〈平家・七〉
補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬意を込めて表す。「ご出席―・れたくお願い申し上げます」
[類語]与える呉れる下さる授ける恵む施すやるあげる差し上げる賜る供する供与提供授与恵与

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下される」の意味・読み・例文・類語

くださ‐・れる【下れる】

  1. 〘 他動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]くださ・る 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 動詞「くだす(下)」に、受身、尊敬の助動詞「る」のついてできたもの )
  2. [ 一 ]
    1. ( 「る・れる」が尊敬の意の場合 ) 「与える」「くれる」の意の尊敬語。お与えになる。お下しになる。また、(人などを)およこしになる。くださる。
      1. [初出の実例]「上達部たちの御中に、『人々これに名してくだされよ』とてたうびつ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
      2. 「なにが人を下さるるひまのなひ事がござらふぞ」(出典:虎明本狂言・墨塗(室町末‐近世初))
    2. ( 「る・れる」が受身の意の場合 ) 上位者から「下賜される」「与えられる」というところから、「もらう」の意の謙譲語となる。
      1. (イ) いただく。頂戴する。
        1. [初出の実例]「経正御硯くだされて」(出典:平家物語(13C前)七)
        2. 「おれも美しい小袖を下された」(出典:歌舞伎・丹波与作手綱帯(1693)一)
      2. (ロ) 特に、飲食物をいただくの意で、「飲む」などの謙譲語。
        1. [初出の実例]「かく珍らしき御酒一つ御前にて下されて」(出典:御伽草子・酒呑童子(室町末))
        2. 「拙者も深うは下されぬが少御酒を好む故」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)上)
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。他の動作を表わす語句について、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬っていう。「…(て)くれる」の尊敬語。
    1. (イ) 動詞に接続助詞「て」のついたものにつく。
      1. [初出の実例]「既に蟻にさし殺さるるを、たすけて下された礼にまいったぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)六)
    2. (ロ) 動詞の連用形、または、それに「お」を冠した形につく。
      1. [初出の実例]「Tamuqecudasare, ruru, eta(タムケクダサルル)」(出典日葡辞書(1603‐04))
      2. 「すこしの間(ま)このお子を私へお預け下されませ」(出典:歌舞伎百夜小町(1684)二)

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