下さる(読み)クダサル

デジタル大辞泉 「下さる」の意味・読み・例文・類語

くださ・る【下さる】

[動ラ五(四)]動詞くだされる」(下一)の五段化》
与える」「くれる」の尊敬語。お与えになる。くだされる。「祝電を―・った」
補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬意を込めて表す。「お話し―・る」「ご理解―・る」「助けて―・る」
[動ラ下二]くだされる」の文語形
[類語]与える授ける恵む施すやるあげる差し上げるくれる賜る供する供与提供授与恵与

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下さる」の意味・読み・例文・類語

くださ‐・る【下】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙くだされる(下━)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 ( 近世以降、[ 一 ]が四段活用化したもの )
    1. [ 一 ]
      1. 「与える」「くれる」の意の尊敬語。お与えになる。お下しになる。
        1. [初出の実例]「三匁下さるなら取持ちませう」(出典:歌舞伎・仏母摩耶山開帳(1693)一)
      2. 「もらう」の意の謙譲語。いただく。頂戴する。特に、飲食物をいただくの意で、飲食するのをへりくだっていうのに用いる。
        1. [初出の実例]「『まだまだもちるいでくへねへのは、疝気もちとはいとりもち』『アイその外、なんでも下さります』」(出典:洒落本・駅舎三友(1779頃)二階)
        2. 「ハイ、さけはすきで、一升ざけを下さります」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五)
      3. ( もらっても、ありがたくないの意からか、また、「くだらない」に連想してできたものか ) 好ましく感じられる。また、下に打消の語を伴って、くだらない、つまらない、の意に用いる。→くださらぬ
        1. [初出の実例]「さういふ似而非なる奇人は、あんまり下(クダ)さった方じゃアないネヱ」(出典当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉三)
    2. [ 二 ]助動詞として用いる。他の動作を表わす語句について、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬っていう。「…(て)くれる」の尊敬語。
      1. (イ) 動詞に接続助詞「て」のついたものにつく。
        1. [初出の実例]「よふ生きてゐて下さって、父をおがむ有がたや」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三)
        2. 「私のやうなものでもあちこちからお世話遊して下(クダ)さいますがネ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)二)
      2. (ロ) 動詞の連用形に「お」を冠したもの、あるいは動作性の漢語名詞に「ご」を冠したものにつく。
        1. [初出の実例]「御慈悲に命をおたすけ下さりまし」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)初)
        2. 「御気に障ったら、御勘弁下(クダ)さい」(出典:人情本いろは文庫(1836‐72)二五)

下さるの補助注記

( 1 )命令形が「ください」となること、助動詞「ます」に続くとき「ください」の形が現われること、「ます」の命令形「まし」「ませ」が直接付くことなどから、特別ラ行四段活用とか、ラ行変格活用とか呼ぶ意見もある。→ください
( 2 )「た」「て」に続くとき、「浮世風呂‐三」の「をばさんがうめて下(クダ)すって、てうどよいお加減だ」などのように「くだすって」「くだすった」の形をとる場合がある。


くんさ・る【下】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 「くださる(下)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「『茶もわいてをる、一つおまそか』『いえ、お構ひくんさりますな』」(出典:浄瑠璃・鶊山姫捨松(1740)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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