施す(読み)ホドコス

デジタル大辞泉 「施す」の意味・読み・例文・類語

ほどこ・す【施す】

[動サ五(四)]
恵まれない人に物質的な援助を与える。あわれみの気持ちで、人が困っている状態を助けるような行為をする。恵み与える。「難民食糧を―・す」「医療を―・す」「恩恵を―・す」
飾りや補いのために何かを付け加える。「細工を―・す」「花木油かすを―・す」「撥水加工を―・したスーツ
効果・影響を期待して、事を行う。「策を―・す」
事態を改善するようなことを行う。「―・すすべもない」
(「面目をほどこす」の形で)あることを立派になしとげて高い評価を保つ。「仕事を成功させて面目を―・す」
広く行きわたらせる。
「いよいよ頼朝、権を―・して」〈増鏡新島守
種などをく。
八十木種やそこだねに、皆能く―・しうとのたまふ」〈神代紀・上〉
[可能]ほどこせる
[類語]与える授ける恵むやるあげる差し上げるくれるくださる賜る供する供与提供授与恵与行う

せ・す【施す】

[動サ変]ほどこす。施行せぎょうする。
檀特山に入るとも、兼雅らけだものに―・すべき身かは」〈宇津保・俊蔭〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「施す」の意味・読み・例文・類語

ほどこ・す【施・播】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「ほどこる」の他動詞形 )
  2. 広い範囲にゆき渡らせる。あまねく及ぼす。
    1. [初出の実例]「世界に名をほどこして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)あて宮)
  3. 人々の前にあらわし示す。公衆に示す。
    1. [初出の実例]「無縁の大悲は至感の者に異形を播(ホドコス)。〈真福寺本訓釈 播 保度許須〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
  4. 他の人のためにある事を行なう。
    1. [初出の実例]「もろもろの事ほどこして聞かせ奉りぬ」(出典:古今著聞集(1254)六)
  5. 飾ったり補ったりするためにあるものを付け加える。
    1. [初出の実例]「塩州の曲を将(も)て歌詞に播(ホトコシ)(つく)り」(出典:白氏文集天永四年点(1113)三)
  6. 恵み与える。あわれんで与える。
    1. [初出の実例]「妙る宝を貧き人に分ち施し」(出典:観智院本三宝絵(984)序)
  7. 種などをまく。
    1. [初出の実例]「穀稼時に播(ホドコシ)て、宿麦滋く豊かなり」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  8. 事態の改善や効果・影響などを期待して、ことを行なう。
    1. [初出の実例]「之を乾固し能く防腐剤を施して永く保存すべし」(出典:小学読本(1884)〈若林虎三郎〉五)
    2. 「君にさへ僕と同様の警戒を施(ホドコ)してゐたかも知れない」(出典:開化良人(1919)〈芥川龍之介〉)

せ‐・す【施】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙 金品を他に与える。ほどこす。施行(せぎょう)する。供養する。
    1. [初出の実例]「財はただ施する人のみ福をう」(出典:観智院本三宝絵(984)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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