貰う(読み)モラウ

デジタル大辞泉 「貰う」の意味・読み・例文・類語

もら・う〔もらふ〕【×貰う】

[動ワ五(ハ四)]
贈られたり頼んだりして受け取り、自分のものとする。「金を―・う」「便りを―・う」「賞を―・う」「元気を―・う」「勇気を―・う」
頼んで手に入れる。得る。「許可を―・う」
嫁や婿などを迎える。「養子を―・う」「嫁に―・う」
仲裁を引き受ける。あずかる。「そのけんかはおれが―・った」
勝負事に勝つ。「この試合は―・った」
金を出して自分のものにする。買う。「このネクタイを―・おう」
望まないものを与えられる。「病気を―・う」
遊里で、他の客についている芸者遊女を自分の方へ譲り受ける。
座敷を―・った後のことは、何一つ覚えがなかった」〈秋声縮図
他人から食事などの世話を受ける。寄食する。
「人に雇はれ、縫ひ針とりては口は―・へど」〈読・春雨宮木が塚〉
10補助動詞)動詞の連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて用いる。
㋐他人の好意などにより自分が利益を受ける。また、依頼してある行為をさせる。「医者に診て―・う」「本を読んで―・う」
㋑自分の行為などにより他人に利益をもたらす。「喜んで―・って私もうれしい」
㋒他人の行為により自分が迷惑を受ける。「土足で上がって―・っては困る」
[可能]もらえる
[類語](1受ける受け取る収める収受する受納する受領する受給する受贈する譲り受ける貰い受ける授かる謙譲頂くたまわ頂戴ちょうだいする拝領する拝受する申し受ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「貰う」の意味・読み・例文・類語

もら・うもらふ【貰・囉・餬】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 動詞「もらう(守━)」からという )
  2. [ 一 ] 他から何かを自分の身に受ける。
    1. 贈られたり請うたりして自分のものにする。物品恩恵、許しなどを、与えられたり、願い出たりして自分のものとする。現在では、他からの通信を受ける意にもいう。
      1. [初出の実例]「片手には網うどに魚をもらうてもち」(出典:平家物語(13C前)三)
      2. 「昨年きりで暇を貰って」(出典:人さまざま(1921)〈正宗白鳥〉)
    2. ( 餬 ) 特に、他人から食事などの世話を受ける。よその家の扶養を受ける。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
      1. [初出の実例]「人にやとはれ、ぬひ針とりて口はもらへど」(出典:読本・春雨物語(1808)宮木が塚)
    3. 人を迎え入れる。他家から嫁、婿、養子などを迎える。
      1. [初出の実例]「此方の娘を囉(モロ)ふてもくださるか」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)二)
    4. 病気などをうつされる。
      1. [初出の実例]「社長から恐ろしい病気までもらったやうなことでして」(出典:真理の春(1930)〈細田民樹〉たこ)
    5. 争いなどを間に立ってあずかる。けんかなどの仲裁をする。
      1. [初出の実例]「互に見所候へは一番もらひましてわれに仕候」(出典:俳諧・六百番誹諧発句合(1677)五七番)
    6. 遊里で、客についている遊女や芸者を他の席に譲り受ける。
      1. [初出の実例]「もらはれぬ時、其まま帰ると、かはりをとると二やうあり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)二)
    7. 勝ちを自分のものにする。勝負ごとに勝つ。
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。
    1. ( 動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き ) 他人の好意により、または自分から依頼して行なわれた行為によって自分が利益を受ける、また、単に、依頼して行為をさせる意を表わす。
      1. [初出の実例]「よささうなお仏をつくってもらはふと存る」(出典:虎明本狂言・仏師(室町末‐近世初))
    2. ( 動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き ) 自分の好意により、または他人の依頼によって自分が行なった行為が他人に利益をもたらす意を表わす。
      1. [初出の実例]「夫の居所の解ったことを、家村に喜んでもらった」(出典:真理の春(1930)〈細田民樹〉この歓び)
    3. ( 動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き ) 他人の行なった行為によって自分が迷惑を受ける意を表わす。
      1. [初出の実例]「お前にわけもなく断念(あきら)めて貰(モラ)った日にゃあ、吾が志も水の泡さ」(出典:夜行巡査(1895)〈泉鏡花〉四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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