デジタル大辞泉
「下す」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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くだ・す【下・降】
- 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
- ① 天、空などから下の方へ移す。雨などを降らす。
- [初出の実例]「素戔嗚尊は是性(ひととなり)残害(そこなひやぶる)ことを好む。故、下(クタシ)て根国を治(しらせ)む」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
- 「そま山にたつけぶりこそ神無月時雨をくだす雲となりけれ〈大中臣能宣〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑秋・一一三八)
- ② 川の上流から下流へ流す。
- [初出の実例]「大井河くだす筏のみなれ棹みなれぬ人もこひしかりけり〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋一・六三九)
- ③ (紙などに)筆をおろす。また、碁、将棋などで、盤上に駒や石を打つ。
- [初出の実例]「かかる御中におもなくくだす筆のほど、さりともなん思う給ふる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
- 「ヘボ碁ですから、石を下(クダ)すのも早いし」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉塵労)
- ④ 刃物をあてる。
- [初出の実例]「誠に木をきらんには、しきりにをのをくだせば、とくきれ侍るべし」(出典:九冊本宝物集(1179頃)九)
- ⑤ 人を都から地方へ行かせる。物を都から地方へ送る。
- [初出の実例]「あの殿のゆるしなくは、親子の面(おもて)も見でくだしてんずるか」(出典:落窪物語(10C後)四)
- 「聖(ひじり)力及ばで関東へ下し奉る」(出典:平家物語(13C前)一二)
- ⑥ 上位の人から下位の人へ与える。下賜する。
- [初出の実例]「平家にむすぼほれたりし人々も、源氏の世の強りし後は、或は文(ふみ)をくだし、或は使者をつかはし、さまざまにへつらひ給ひしか共」(出典:平家物語(13C前)一二)
- ⑦ 命令、判決などを言い渡す。
- [初出の実例]「御門悦給て、雨のしたにみことのりをくたして」(出典:観智院本三宝絵(984)中)
- 「審判なしに宣告を下だすことは如何なる野蛮の法律も許るさぬ」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉一八)
- ⑧ 程度、価値、音調、地位などを低くする。さげる。
- [初出の実例]「琴の緒もいとゆるに張りて、いたうくだして調べ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- 「ココロザシヲ cudasazu(クダサズ)」(出典:天草本伊曾保(1593)椶梠と竹の事)
- ⑨ 戦争、スポーツ、勝負事などで相手を負かす。降参させる。
- [初出の実例]「もろもろのくにを降伏(カウフク)(〈注〉クタシフセン)せんとおもはんに」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五)
- 「秀吉は〈略〉島津義久等を降して、遂に天下を一統せり」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉七)
- ⑩ 物事に対して自分ではっきりした判断をつける。また、それによって事を行なう。「手をくだす」
- [初出の実例]「旧史を補て新意を下て注したほどに」(出典:史記抄(1477)三)
- 「にわかにわたしとしては断定をくだしがたい」(出典:小説平家(1965‐67)〈花田清輝〉四)
- ⑪ 下痢する。
- [初出の実例]「折節、腹中(ふくちう)をわづらひ、膿血(うみち)をくだしければ」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)下)
- 「平生から胃腸の能くない男で〈略〉稍(やや)ともすると吐いたり下(クダ)したりした」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉友達)
- ⑫ ( 動詞の連用形につけて補助的に用い ) 上の動詞の表わす動作をすらすらと進行させる。「読みくだす」「書きくだす」など。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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