デジタル大辞泉 「畏」の意味・読み・例文・類語 かしこ【▽畏/▽恐/賢】 《形容詞「かしこい」の語幹から》1 女性が手紙の終わりに添えるあいさつの語。かしく。男性の用いる「恐惶きょうこう謹言」などにあたる語。「あらあら―」2 恐れ多いこと。もったいないこと。多く「あなかしこ」の形で用いられる。「確かに御枕上に参らすべき祝の物に侍る。あな―」〈源・葵〉3 すぐれていること。すばらしいこと。「草にも真名まなにも、…書きまぜ給へり。―の御手や、と空を仰ぎてながめ給ふ」〈源・葵〉4 思慮・分別などに優れていること。利口なこと。「我―に思ひたる人、憎くもいとほしくも覚え侍るわざなり」〈紫式部日記〉[類語]敬具・敬白・謹言・拝具・草草・怱怱・頓首・不一・不二 い【畏】[漢字項目] [常用漢字] [音]イ(ヰ)(呉)(漢) [訓]おそれる かしこし かしこまる1 おじけづく。おびえる。「畏懼いく・畏縮・畏怖」2 うやまい、かしこまる。「畏敬・畏友」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「畏」の意味・読み・例文・類語 かしこ【畏・恐・賢】 ( 形容詞「かしこい」の語幹 )① おそろしいこと。おそれ多いこと。もったいないこと。おそれつつしむべきこと。「あなかしこ」の形で用いられることが多い。[初出の実例]「さるにても、かしこ、あやまちしつらふ」(出典:虎明本狂言・文山立(室町末‐近世初))② すぐれていること。すばらしいこと。[初出の実例]「めづらしきさまに、かきまぜ給へり。かしこの御てやと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)③ 「おそれ多く存じます」の意で、手紙の結びに用いて相手に敬意を表わす語。男女ともに用いたが、後世は女性が用いる。あらあらかしこ。めでたくかしく。かしく。[初出の実例]「悉皆狼藉之躰可レ有二御免一候由申させたまへ、かしこ」(出典:実隆公記‐明応五年(1496)正月一六日紙背(姉小路基綱書状))④ 才能、思慮、分別などがすぐれていること。賢明であること。りこうであること。[初出の実例]「われかしこに思ひたる人」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)畏の語誌③の用法は、「あな」が上接した「あなかしこ」の形で既に平安時代中期から見られる。中世になると、「かしこ」単独でも用いられ、「かしこ」から転じた「かしく」も見られるようになる。 かしく【畏・恐・可祝】 [ 1 ] ( 形容詞「かしこい」の語幹「かしこ(畏)」の変化した語 ) 女性の、時には男性の手紙の末尾に用いる挨拶(あいさつ)のことば。かしこ。めでたくかしく。[初出の実例]「又々申候へく候。かしく」(出典:醍醐寺文書‐応永三一年(1424)自正月至六月紙背)[ 2 ] ( 女性の手紙に限って用いられるところから ) 女性をさす。[初出の実例]「師匠さまかしくの方は世話がなし」(出典:雑俳・柳多留‐七〇(1818)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「畏」の読み・字形・画数・意味 畏常用漢字 9画 [字音] イ(ヰ)・ワイ[字訓] おそれる・つつしむ[説文解字] [甲骨文] [金文] [字形] 象形鬼頭のものの形。〔説文〕九上に「惡なり」とし、上は(鬼)頭、下は虎爪にして「畏るべき」ものとするが、下部は人と呪杖の形である。卜文・金文の形は鬼頭の者が呪杖をもち、その威霊を示す形。夢などにあらわれるものをいい、卜辞に「畏多し」などの語がある。[訓義]1. おそれる、にくむ、はばかる、忌む。2. つつしむ、かしこまる。3. 金文の〔大盂鼎〕に「天畏を畏れよ」とあり、威と通用する。[古辞書の訓]〔名義抄〕畏 オソル・オヅ・ツツシム・カシコマル[声系]〔説文〕に畏声として・猥・隈など七字を録する。隈iは窩uaiと声義近く、その系統の語。[語系]畏・威iuiは同声。〔詩、小雅、常棣〕「死喪の威(おそ)れ」は「畏れ」、〔小雅、巧言〕「昊天(かうてん)已(はなは)だ威(おそ)る」は金文の「天(びんてん)疾畏」と同義。文献に畏・威通用の例が甚だ多い。[熟語]畏愛▶・畏威▶・畏影▶・畏悪▶・畏忌▶・畏恐▶・畏怯▶・畏懼▶・畏敬▶・畏事▶・畏日▶・畏首▶・畏粛▶・畏縮▶・畏慎▶・畏▶・畏懦▶・畏憚▶・畏▶・畏途▶・畏塗▶・畏怕▶・畏避▶・畏怖▶・畏附▶・畏伏▶・畏服▶・畏慕▶・畏友▶・畏慄▶・畏凜▶[下接語]愧畏・恭畏・敬畏・愁畏・懾畏・尊畏・憚畏・天畏・怖畏・憂畏 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by