朝日日本歴史人物事典 「並木五瓶(3代)」の解説
並木五瓶(3代)
生年:寛政1(1789)
江戸後期の歌舞伎狂言作者。別号並木舎。初代篠田金治(2代目並木五瓶)の門弟。はじめ篠田惣六と称して旅芝居の作者を勤めたが,文政2(1819)年,師の死去にともない2代目篠田金治を継いで江戸で活躍した。天保3(1832)年に3代目五瓶を襲名し,立作者格となる。同9年から5代目市川海老蔵(のちの7代目団十郎)付きの作者として活躍し,同11年の「勧進帳」は今なお上演の多い作品である。同年上方へ上り,3代目尾上菊五郎のために執筆し,この関係は江戸へ戻ってからも続いた。嘉永年間(1848~54)に上方へ上り,江戸追放になっていた海老蔵の作者になっていたが,その後江戸へ戻って没した。実子が4代目を継ぎ,歌舞伎台帳の蒐集整理に努めたことで知られている。
(北川博子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報