中曽根康弘(読み)ナカソネヤスヒロ

デジタル大辞泉 「中曽根康弘」の意味・読み・例文・類語

なかそね‐やすひろ【中曽根康弘】

[1918~2019]政治家。群馬の生まれ。海軍主計少佐として終戦を迎え、昭和22年(1947)民主党から衆議院議員初当選。長く憲法改正を主張しつつ、保守合同後は自民党科学技術庁長官・防衛庁長官・通産大臣などを歴任。昭和57年(1982)首相就任。改憲はできなかったものの国鉄電電公社日本専売公社民営化を実現し、外交ではレーガン米大統領との盟友関係を築いた。昭和62年(1987)退陣。平成15年(2003)政界引退。→竹下登

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中曽根康弘」の意味・わかりやすい解説

中曽根康弘
なかそねやすひろ
(1918―2019)

政治家。大正7年5月27日群馬県高崎市生まれ。東京帝国大学法学部から内務省に入る。第二次世界大戦後政界入りし、1947年(昭和22)の総選挙民主党から当選、以後連続当選。民主・改進党のころは「青年将校」の一人で反吉田の急先鋒(せんぽう)。保守合同後は自民党河野(こうの)派に属する。1959年岸信介(のぶすけ)内閣の科学技術庁長官。1965年河野一郎死後中曽根派をつくり政権獲得を目ざす。1972年総裁選では田中角栄支持に回り以後田中派との結び付きを強める。1976年ロッキード事件児玉誉士夫(こだまよしお)絡みの疑惑に包まれ一時党幹事長辞任に追い込まれたが、その後復権し、鈴木善幸(ぜんこう)内閣の行政管理庁長官を経て、1982年11月首相の座を獲得。中曽根は「風見鶏(かざみどり)」の異名で知られ変わり身の早さは有名だが、本質は改憲論者で核武装を提唱したこともある。首相就任後も発言の朝令暮改ぶりはあるものの、基本的には軍拡・改憲のタカ派的路線を歩んだ。1987年11月首相を辞任。1989年(平成1)自民党を離党、1991年復党したが、この間もそれ以降も衆議院議員を務め、衆議院議員当選は20回に及ぶ。2003年11月の総選挙で出馬を辞退し、政界を引退した。

伊藤 悟]

『中曽根康弘著『政治と人生』(1992・講談社)』『中曽根康弘著『二十一世紀 日本の国家戦略』(2000・PHP研究所)』『中曽根康弘著『自省録――歴史法廷の被告として』(2004・新潮社)』『世界平和研究所編・刊『中曽根内閣史』全5巻(1995~1997)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中曽根康弘」の意味・わかりやすい解説

中曽根康弘
なかそねやすひろ

[生]1918.5.27. 群馬,高崎
[没]2019.11.29. 東京
政治家。内閣総理大臣(首相。在任 1982~87)。東京帝国大学を卒業。内務省に入る。海軍に入隊,復員後警視庁に勤務し,1947年に衆議院議員総選挙に当選。以来当選 20回。自由民主党では河野派に属し,1959年科学技術庁長官となる。河野一郎の死後,河野派の大半を継承。1966年中曽根派を形成,佐藤政権の運輸大臣,防衛庁長官,党総務会長,田中内閣の通商産業大臣を歴任。三木政権下では党幹事長となった。1977年福田政権下の党総務会長。1982年11月,自民党総裁,内閣総理大臣となる。内政面では行政改革や緊縮財政,3公社の民営化(→分割民営化)を進めた反面,民間活力の導入と規制緩和が地価の暴騰をもたらした。外交では「西側陣営の一員」の姿勢をアピールし,防衛費の対国民総生産 GNP比率 1%枠を撤廃。また靖国神社公式参拝を行なった。1986年の衆参ダブル選挙では自民党に 300議席をこえる記録的勝利をもたらしたが,選挙公約を破り,売上税の導入をはかって国民の不信を買い,1987年退陣。1989年リクルート事件に関与し国会証人喚問を受けた。2003年に政界を引退した。1997年,大勲位菊花大綬章を受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中曽根康弘」の解説

中曽根康弘 なかそね-やすひろ

1918- 昭和後期-平成時代の政治家。
大正7年5月27日生まれ。内務省にはいり,終戦時は海軍主計少佐。昭和22年衆議院議員(当選20回,自民党)。第2次岸内閣の科学技術庁長官で初入閣。41年中曽根派を結成。運輸相,防衛庁長官,通産相などを歴任し,49年党幹事長。行政管理庁長官をへて,57年首相となり,3度内閣を組閣。国鉄の分割・民営化を実現した。平成15年引退。群馬県出身。東京帝大卒。

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