二人静(読み)フタリシズカ

デジタル大辞泉 「二人静」の意味・読み・例文・類語

ふたりしずか【二人静】[謡曲]

謡曲三番目物宝生以外の各流。義経記などに取材静御前の霊が菜摘み女に乗り移って舞をまい、吉野の勝手明神の神職に回向えこうを頼む。

ふたり‐しずか〔‐しづか〕【二人静】

センリョウ科多年草山地林下に生え、高さ約30センチ。茎の上部に葉が二対対生し、十字状をなす。4、5月ごろ、葉の間から花穂を2または3本出し、白い小花を多数つける。実は緑色球形。さおとめばな。つきねぐさ。 春》
[補説]曲名別項。→二人静

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精選版 日本国語大辞典 「二人静」の意味・読み・例文・類語

ふたり‐しずか‥しづか【二人静】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 センリョウ科の多年草。高さ三〇~五〇センチメートル。茎の上部の四~六葉は楕円形で長さ七~一五センチメートル。下部の葉は鱗片状に退化。四~六月ごろ花被のない白い小花をまばらにつけた穂を二~三本つける。花被片はない。果実は倒卵形で緑色。ヒトリシズカに似ているが二本の花穂を出すことからこの名がある。漢名、及己。さおとめばな。つきぬぐさ。《 季語・春 》 〔物品識名(1809)〕
  2. [ 2 ] 謡曲。三番目物。観世・金春・金剛喜多流。作者不詳。吉野勝手明神の神職が女を菜摘(なつみ)川へやると、一人の女が現われ、供養をしてくれと頼む。女がこれを神職に伝えるうちに女に静御前の霊が乗り移り、宝蔵に納めた衣装を出させて舞い始める。すると全く同じ姿をした静の霊が現われて、義経がこの山に落ちのびた時の様子をともに語り舞う。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二人静」の意味・わかりやすい解説

二人静(菓子)
ににんしずか

和三盆糖を用いた打菓子の一種。名古屋市の老舗(しにせ)両口屋是清(りょうぐちやこれきよ)の銘菓で、菓名は能の「二人静(ふたりしずか)」からつけられた。菜摘川(なつみがわ)(吉野川の別名)のほとりに若菜摘みに出た勝手(かって)神社の女人が「春立つといふばかりにやみ吉野の、山も霞(かす)みて白雪の、消えし跡こそ道となれ」と歌うところへ、里の女に身を変えた静御前(ごぜん)が現れ、やがて影の形に添うごとく「しづやしづ、しづのをだまきくり返し」と優雅な舞をみせる。その2人の静御前に見立てた菓子は、和三盆を紅白に丸く打ち分け、その二つをあわせて球型につくる。薄い和紙にくるみ、指頭大にひねってあるが、紙を開いたとき、手のひらに転がる姿が愛くるしい。

[沢 史生]


二人静(能)
ふたりしずか

能の曲目。三番目物。古い作品とされるが、作者不明。観世(かんぜ)、金春(こんぱる)、金剛、喜多の四流現行曲。吉野山の神職(ワキ)は、女(ツレ)に正月の神事に供える若菜を摘みにやらせる。そこへ1人の女(前シテ)が呼びかけ、写経の供養を依頼して消える。驚いて報告する菜摘み女に静の霊がのりうつり、蔵から昔の舞の装束を出させて着る。そのとき「菜摘みの女と思ふなよ」と呼びかけつつ、同装の静自身の亡霊(後シテ)が現れて2人で舞う。義経(よしつね)の吉野落ちの苦難、頼朝(よりとも)の前で舞をまったつらさを語り、義経への尽きぬ慕情を訴え、回向(えこう)を願って霊は離れていく。能面で視野のほとんどを失っている役者が、影に形の添うごとく一糸乱れずそろって舞うところにねらいがあり、技術的にむずかしい能である。

[増田正造]

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デジタル大辞泉プラス 「二人静」の解説

二人(ににん)静

愛知県名古屋市、両口屋是清が製造・販売する銘菓。和三盆糖を用いた干菓子。一対の紅白の半球状のものを合わせて球形にしてある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「二人静」の解説

二人静 (フタリシズカ)

学名:Chloranthus serratus
植物。センリョウ科の多年草,園芸植物

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「二人静」の解説

二人静
ににんしずか

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
大正6.1(東京・新富座)

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