出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ウルシ科ヌルデ属Rhus樹木の葉の付け根にできる虫こぶを乾かしたもの。タンニン酸の原料である。ヌルデシロアブラムシの幼虫などが寄生するときつけた傷および樹幹内で生育する幼虫の運動などの刺激により,それを取り囲む樹木の組織が肥大し,変質して虫こぶとなる。大きさは長さ8cm,幅1~6cm。幼虫の羽化前に採集したものが使われる。五倍子は虫の死体を含み,そのほかの部分の主成分はタンニン酸で50~70%,他はデンプン,蠟(ろう)などである。タンニン酸はグルコースに没食子酸が5~9個ついたもので,加水分解型タンニンと呼ばれる。医薬,媒染剤などに使われる。日本のヌルデおよび中国のタイワンフシノキなどに生ずる。日本は使用量のすべてを中国などから輸入している。
執筆者:善本 知孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…ヌルデシロアブラムシの仲間が寄生して葉に虫こぶをつくる。それを五倍子(附子(ふし))とよぶので,一名フシノキともいう。フシは薬用,染料としてのタンニン原料である。…
…虫こぶを作る動物は99%が昆虫で,ほかにダニ,クモ,糸状虫がある。とくにブナ科植物に作るインクタマバチの虫こぶを没食子,ヌルデ属植物に作るアブラムシ類の虫こぶを五倍子と呼び,タンニンの原料とする。しかし,作物,果樹にできた虫こぶは,生育の妨げとなる。…
※「五倍子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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