債務者が任意にその債務を履行しないときに、債権者または第三者に給付内容を実現させ、これに要する費用を債務者から取り立てるという方法で行われる強制執行の一方法。他の者が債務者にかわって給付内容を実現させうるような義務(代替的給付義務)の場合に、この方法によりうる。たとえば、建物収去や新聞紙上への謝罪広告の義務のような代替的作為債務の執行の場合には、債権者または第三者が作為をし、その作為の費用を債務者に負担させ、建物を建築しない義務(不作為債務)に違反して建築された建物の除去については、その除去費用を債務者に負担させる、という方法で行われる。代替執行は第一審の受訴裁判所等の専属管轄で(民事執行法171条2項)、裁判所は行為を第三者に行わせることを債権者に授権する決定をする(同法171条1項、民法414条2項)が、この授権決定をするには債務者の審尋が必要である(民事執行法171条3項)。また、裁判所は、授権決定をするに際して、申立てにより、債務者に必要費用のあらかじめの支払い(債権者への)を命ずることができる(同法171条4項)。代替執行により得る場合に、債権者の申立てがあるときは、間接強制の方法により行う(同法173条1項)。
[本間義信]
債務者がその債務を任意に履行しない場合に,第三者に債務者のなすべき行為を行わせ,その費用を債務者から取り立てるという強制執行の方法(民法414条2項本文,同条3項,民事執行法171条)。金銭給付や物の引渡義務の場合には,執行機関が直接に債権者に満足を与えるという,直接強制の方法がとられるが,作為義務あるいは不作為義務については,その方法が適さないので,代替執行の方法がとられる。たとえば,建物を収去する義務を債務者が履行しないときに,債権者は,第三者に建物を収去させ,その費用を債務者から取り立てることができる。ただし,債務者自身でなければできない債務,いわゆる不代替的作為義務については,代替執行は適さず,間接強制によるしかない。
代替執行を求める債権者は,債務名義に基づいて執行裁判所に授権決定を申し立てる(民事執行法171条)。授権決定とは,債務者に代わって第三者が一定の行為をなすことを命じる決定である。裁判所は,債務者を審尋したうえで,この決定をなす。
執筆者:伊藤 真
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