仮執行宣言の付された未確定の判決または支払督促に基づいて行われる強制執行をいう。
判決は確定したときに初めて執行力を生じ、それまでは強制執行できないはずであるが、判決が出ても控訴、上告がなされる可能性がある。その結果、確定まで長期間かかるかもしれず、それまで執行できないとすると、原告にとって取り返しのつかない損害が発生する場合がある。そこで、裁判所が必要ありと判断した場合には、当事者の申立てにより、あるいは職権により判決に仮執行宣言を付し、これにより強制執行できるとしたのである。「仮」というのは、判決が確定していないけれども、訴訟手続中の権利につき強制執行できるが、上級審で判決が取り消されれば、執行のなかった状態へ戻すということであって、執行そのものとしては終局的な権利の満足まで行う。
仮執行宣言は、たとえば一家の生計を支えてきた者が交通事故で死亡したときに遺族が加害者に損害賠償請求した場合のように、判決が未確定でも執行する必要性のある場合に付せられるほか、手形・小切手債権を求める訴訟の判決にはかならずつけなければならない。また、支払督促につき2週間内に異議の申立てがなく債権者の申立てがあった場合と、少額訴訟の請求認容判決には、職権でかならずつけなければならない。これらの場合、担保をたてて、仮執行を免れうることを宣言することができる。ただし、仮執行宣言を付しうるのは、原則として財産権上の請求に限られる。上級審で仮執行宣言付き判決(あるいは異議後の訴訟手続で仮執行宣言付き支払督促)が取り消されると、仮執行宣言は失効する。この場合、(仮執行宣言が出ていても、これにより実際に執行するか否かは債権者の自由であるが、執行の申立てをして)執行手続がまだ完結していなければ、債務者は執行の取消しを求めることができる。しかし、すでに終了した執行手続は無効ではないから、債務者の申立てによる裁判所の判決により、仮執行のなかった状態(仮執行によって債務者がとられた物の返還、あるいは仮執行により損害を受けたときは損害賠償)への復帰が命ぜられる。この債権者の損害賠償義務は無過失責任である。
[本間義信]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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