住民投票[日本](読み)じゅうみんとうひょう[にほん]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「住民投票[日本]」の意味・わかりやすい解説

住民投票[日本]
じゅうみんとうひょう[にほん]

地方公共団体直接民主制の一つの方法として行なわれる投票住民首長議員選挙で選ぶことで間接的に地方公共団体の行政に参加しているが,地域にかかわる重大な問題について直接意思を示すことで,地方自治の充実をはかるために設けられた。代表的なものでは,地方自治法に基づく地方議会解散請求と議員や首長の解職請求(→リコール)をめぐる住民投票がある。いずれも過半数賛成があった場合に議会は解散し,議員や首長は解職される。また日本国憲法95条に基づき,国会が特定の地方公共団体に適用する特別法を制定する際にも,住民投票で過半数の賛成を得ることが必要になる。2015年5月,大阪府大阪市で行なわれた大阪都構想をめぐる特別区設置住民投票がこの場合にあたる(→維新の党)。このように投票結果が自治体や議会,首長の行動を法的に拘束する住民投票だけでなく,法的拘束力はないが首長や地方議会が住民の意見を知るため条例に基づいて行なわれるものもある。近年では,総合運動公園の整備や公立図書館の民間業者への運営委託,地方公共団体の庁舎新設など幅広い事柄をめぐって住民投票が実施されるようになった。直接の民意であるだけに,その結果を首長や議会が重視せざるをえず,地方自治の手法として重要性を増している。

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