公売(読み)こうばい

精選版 日本国語大辞典 「公売」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばい【公売】

〘名〙
① 公の機関により強制的に行なわれる売買。民事上の強制執行手段としてされる競売や、国税徴収法上の滞納処分として行なわれる財産換価処分など。〔英和記簿法字類(1878)〕
国民新聞‐明治二三年(1890)三月三日「既に入札法を以て公売に附したれども、最初の予算額よりは非常の廉価にて」
官公署が行なう売却
③ 公然と売ること。
江戸繁昌記(1832‐36)四「吉原は是れ公花街。汝公売して、我公買す」

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デジタル大辞泉 「公売」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばい【公売】

[名](スル)法律規定に基づき、公の機関によって強制的に行われる売買。国税徴収法上の滞納処分における財産換価処分や民事執行法による競売など。
[類語]専売密売量販多売直販直売即売

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改訂新版 世界大百科事典 「公売」の意味・わかりやすい解説

公売 (こうばい)

広義では,公の機関が,法律の規定に基づき,強制的に,かつ買受けの機会を一般に公開して行う売買をいう。民事上の強制執行手続としてなされる債務者の財産の競売などがこれにあたる。

 狭義では,租税滞納処分の一手続として,滞納者の差押財産を換価するために用いられる手段(国税徴収法94~108条で定める公売)をさす。公売は,公正さを担保するため,一般競争による入札またはせり売りの方法で行われる(94条2項)。公売に際して税務署長は,一定の期間内(公売の日の少なくとも10日前まで)に公売公告を行い,関係者に公売の通知等をした後,公売財産の見積価額(最低入札価額)を決定,公告しなければならない。その価額に応じて入札者等は公売保証金を納付する必要がある。最高価申込者(見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等。複数いるときは,くじで定める)の決定,最高価申込者の氏名および価額の呼上げの後,終了の告知でもって,公売手続は終了する(106条)。公売は,滞納者の利益を保護するために公正な手続で財産を換価することを目的としており,そのため滞納者は,換価の目的となった自己の財産を直接であると間接であるとを問わず買い受けることができず,租税職員も換価の目的となった財産を買い受けることができない,など種々の規定が置かれている(例,92,108条)。また,公売は,滞納税額の徴収に必要な限度にとどめられるべきであり,正当な理由がないのに,滞納税額を著しく超えて財産を換価することは許されない。
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