日本大百科全書(ニッポニカ) 「利賀」の意味・わかりやすい解説
利賀
とが
富山県南西部、東礪波郡(ひがしとなみぐん)にあった旧村名(利賀村(むら))。現在は南砺(なんと)市の南東部を占める一地区。2004年(平成16)東礪波郡城端(じょうはな)町、井波(いなみ)町、福野(ふくの)町、平(たいら)村、上平(かみたいら)村、井口(いのくち)村、西礪波郡福光(ふくみつ)町と合併、市制を施行して南砺市となる。旧村域は、南部を岐阜県に接し、庄川(しょうがわ)、その支流利賀川、神通(じんづう)川水系の百瀬川(ももせがわ)の3流域からなる五箇山(ごかやま)の山村地帯。庄川に沿って国道156号、利賀川に沿って471号が走るが、五箇山のなかでももっとも交通の便に恵まれない。養蚕、和紙、製炭、林業が行われてきたが、過疎化が進み廃村となった集落もある。最近は文化・観光面に力を入れ、活性化を図っている。1976年(昭和51)に百瀬川流域の中村地区に早稲田(わせだ)小劇場(現、劇団SCOT)が合掌(がっしょう)造の民家を本拠に活動を始め、1982年には第1回世界演劇祭(利賀フェスティバル)を開催した。世界演劇祭は毎年行われたが、1999年(平成11)の第18回が最後となり、2000年からは利賀サマー・アーツ・プログラムが行われている。イワナの養殖を行い、特産にマタタビ酒がある。野外劇場や合掌造の劇場をもつ富山県利賀芸術公園、利賀民俗館、道の資料館などの施設がある。脇谷(わきだに)のトチノキは国の天然記念物。「利賀のはつうま行事」は国の選択無形民俗文化財。
[深井三郎]
『『利賀村史』(1999~ ・利賀村)』