唾(読み)ダ

デジタル大辞泉 「唾」の意味・読み・例文・類語

だ【唾】[漢字項目]

[常用漢字] [音]ダ(慣) [訓]つば
1 つば。「唾液・唾壺だこ/咳唾がいだ」
2 つばを吐くようにして嫌う。「唾棄」
[難読]固唾かたず

つ‐ばき【▽唾】

《動詞「唾つはく」の連用形から。古くは「つはき」》唾液腺だえきせんから口の中に分泌されるねっとりした消化液。唾液。つば。
[類語]唾液・つば・よだれ・生つば・かたず

つば【唾】

唾液だえき。つばき。「唾をのみ込む」
[類語]唾液・よだれ・つばき・生つば・かたず

つ【▽唾】

つば。つばき。唾液だえき。
「盗人たちは、…いずれも―をのんで、身動きもしない」〈芥川・偸盗〉

つわ〔つは〕【▽唾】

つば。つばき。
「しきりに―を地面にはいた」〈野間・真空地帯〉

つ‐わき〔‐はき〕【▽唾】

⇒つばき

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精選版 日本国語大辞典 「唾」の意味・読み・例文・類語

つ‐ばき【唾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「つはく(唾吐)」の連用形から転じた語。古くは「つはき」「つわき」 ) 唾液腺(だえきせん)から口中に分泌される消化液。唾液。唾汁。つ。つば。
    1. [初出の実例]「亦、唾(ツハキ)を以て白和幣(しらにきて)と為、洟(よたり)を以て青和幣(あをにきて)と為」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
    2. 「心地あしげにて、つはきをはき、ふしたり」(出典:古本説話集(1130頃か)一九)
    3. 「Tçubaqi(ツバキ)。Tçufaqi(ツハキ)よりもまさる。〈訳〉唾液。Tçubaqiuo(ツバキヲ) スル、または、ハク」(出典:日葡辞書(1603‐04))

唾の語誌

( 1 )「十巻本和名抄‐二」に「都波歧」、「新撰字鏡」にも「豆波支」とツハキの語形が見える。院政期加点と目される「高僧伝長寛元年点」に、「唾手(ツワキハイテ)」とツワキの語形が見えるところから、ツハキ→ツワキの変化が指摘できる。
( 2 )ツバキと濁音化した例は、室町時代から見られ、「堯空本節用集」に「唾 ツバキ」と見えるほか、挙例のように「日葡辞書」の見出し語にも掲げられている。
( 3 )室町時代には、ツバキのほかに、ツハキ、ツワキ、ツ、ツハ、ツバ、ツワの語形が存する。このような状態は江戸時代まで続くが、次第にツバキがツバと共に優勢となる。なお、ツハキ→ツハケ、ツバキ→ツバケの変化も室町時代以降に生じたものの、一般化せず俗語の域に止まっていた。


つ【唾】

  1. 〘 名詞 〙 つばき。つば。唾液(だえき)。
    1. [初出の実例]「吒 ツ」(出典:観智院本名義抄(1241))
    2. 「梅子のすき声(な)をきけば口につたまりうるほふ」(出典:日蓮遺文‐法華題目鈔(1266))
    3. 「飲めば津(ツ)にむせるばかりおかしけれども」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)跋)

唾の補助注記

「虎寛本狂言・蛸」に「息つまって、うつぶせにおしふせられて、づをはいてぞ伏たりける」と濁音形が見られ、虎明本では「ず」とある。


つば【唾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「つは」「つわ」とも )
  2. ① =つばき(唾)
    1. [初出の実例]「tçuua(ツワ) ヲ ハキ」(出典:サントスの御作業の内抜書(1591)一)
    2. 「大阪で講釈聴いた真似やないか。皆眉毛に唾液(ツバ)附けや」(出典:太政官(1915)〈上司小剣〉六)
  3. ② (九州地方で)唇。〔日葡辞書(1603‐04)〕

つばけ【唾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「つはけ」「つわけ」か ) 「つばき(唾)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「今もにつはけを吐くことあり」(出典:日本書紀兼倶抄(1481))

つ‐わき‥はき【唾】

  1. 〘 名詞 〙 ⇒つばき(唾)

つわつは【唾】

  1. 〘 名詞 〙 ⇒つば(唾)

つわっ‐ぱつはっ‥【唾】

  1. 〘 名詞 〙 つばき。つば。

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普及版 字通 「唾」の読み・字形・画数・意味

唾
常用漢字 11画

(異体字)
11画

[字音] ダ
[字訓] つば・つばはく

[説文解字]

[字形] 形声
声符は垂(すい)。垂は枝端の華が垂れて地に達する形で、落ちる意がある。〔説文〕二上に「口液なり」とあり、つばをいう。重文としてを録する。唾棄・唾手のように用いる。

[訓義]
1. つば、つばき。
2. つばはく、つばきする。
3. しかる、ののしる、こばむ。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕唾 波岐(つばき)〔名義抄〕唾 ツバキ・ススル・ハク

[語系]
唾()thuai、吐thaは声近く、唾はくことと吐とも似た動作である。唾棄・吐瀉のように用いるが、そのときの声をとる擬声語であろう。

[熟語]
唾盂▶・唾液▶・唾▶・唾棄▶・唾血▶・唾壺▶・唾視▶・唾耳▶・唾手▶・唾汁▶・唾掌▶・唾津▶・唾罵▶・唾沫▶・唾面▶・唾余▶
[下接語]
嚥唾・唾・唾・乾唾・含唾・棄唾・驚唾・口唾・珠唾・祝唾・笑唾・涕唾・反唾・零唾

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改訂新版 世界大百科事典 「唾」の意味・わかりやすい解説

唾 (つば)

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世界大百科事典(旧版)内の唾の言及

【厠神】より

…出産後3日目に〈雪隠(せつちん)参り〉といって生児が産婆に抱かれて厠神に参る風も東日本を中心に見られる。また厠で唾を吐くものでないという禁忌も広く行われ,犯せば厠神が怒って目や歯にたたるという場合が多い。青森では,厠神は右手で小便,左手で大便を受けるので,唾をすると口で受けねばならないからだと説明している。…

【唾液】より

…俗に〈つば(唾)〉〈つばき〉ともいい,口外に流れ出た唾液を〈よだれ(涎)〉という。大部分は耳下腺,顎下腺,舌下腺から,一部は口腔内の多数の小唾液腺から分泌される無色・無味・無臭の液体。…

※「唾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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