( 1 )「十巻本和名抄‐二」に「都波歧」、「新撰字鏡」にも「豆波支」とツハキの語形が見える。院政期加点と目される「高僧伝長寛元年点」に、「唾手(ツワキハイテ)」とツワキの語形が見えるところから、ツハキ→ツワキの変化が指摘できる。
( 2 )ツバキと濁音化した例は、室町時代から見られ、「堯空本節用集」に「唾 ツバキ」と見えるほか、挙例のように「日葡辞書」の見出し語にも掲げられている。
( 3 )室町時代には、ツバキのほかに、ツハキ、ツワキ、ツ、ツハ、ツバ、ツワの語形が存する。このような状態は江戸時代まで続くが、次第にツバキがツバと共に優勢となる。なお、ツハキ→ツハケ、ツバキ→ツバケの変化も室町時代以降に生じたものの、一般化せず俗語の域に止まっていた。
「虎寛本狂言・蛸」に「息つまって、うつぶせにおしふせられて、づをはいてぞ伏たりける」と濁音形が見られ、虎明本では「ず」とある。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…出産後3日目に〈雪隠(せつちん)参り〉といって生児が産婆に抱かれて厠神に参る風も東日本を中心に見られる。また厠で唾を吐くものでないという禁忌も広く行われ,犯せば厠神が怒って目や歯にたたるという場合が多い。青森では,厠神は右手で小便,左手で大便を受けるので,唾をすると口で受けねばならないからだと説明している。…
…俗に〈つば(唾)〉〈つばき〉ともいい,口外に流れ出た唾液を〈よだれ(涎)〉という。大部分は耳下腺,顎下腺,舌下腺から,一部は口腔内の多数の小唾液腺から分泌される無色・無味・無臭の液体。…
※「唾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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