国際政治経済学(読み)こくさいせいじけいざいがく(英語表記)International political economy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際政治経済学」の意味・わかりやすい解説

国際政治経済学
こくさいせいじけいざいがく
International political economy

国際政治,国際経済,および各種の社会体制資本主義社会主義など)や社会集団民族移民貧困層など)の相互作用により生じる,あるいはそれらの影響を受ける諸問題について研究する学問分野。国際貿易,国際金融,富裕国と貧困国の関係,多国籍企業の役割,およびヘゲモニー(ある国が世界の一部または全世界に及ぼす物理的または文化的な支配)に関する問題など,さまざまな事柄から生じる一連の関連する複合的な問題について,経済のグローバル化がもたらす結果とともに考察する。考察にあたっては,重商主義,自由主義(リベラリズム),構造主義(マルクス主義または新マルクス主義)などさまざまな視座をとりうる。重商主義は現実主義リアリズム)と密接に関係しており,権力と安全保障を獲得するための熾烈な競争における利害対立国家の能力に着目する。自由主義は,人間や国家が平和的関係と世界秩序を構築する能力について楽観的な見方をとる。構造主義の考え方はマルクス主義的分析に根ざしており,社会の支配的な経済構造が階級的な利益や関係にどのように影響するかに注目する。
現代の国際政治経済学は,1945~91年の冷戦期に国際関係論の下位分野として現れた。当初の分析は主として国際安全保障を取り上げていたが,のちに経済安全保障や,国家および国際安全保障戦略における市場参加者(多国籍企業,国際銀行,石油輸出国機構 OPECなどのカルテル国際通貨基金 IMFなどの国際機関を含む)の役割にも目を向けるようになった。1971年のブレトンウッズ協定崩壊や,1973~74年の石油危機など,さまざまな劇的な国際的経済事象の結果として,国際政治経済学は重要性を増した。冷戦終結後は,国際経済のグローバル化が進むなかでの国家存続の可能性や,多国籍企業の役割,公正・正義・公平に関連する諸問題(発展途上国における賃金の低さや富裕国市場への依存など)に重点が置かれるようになった。

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