外官(読み)ゲカン

デジタル大辞泉 「外官」の意味・読み・例文・類語

げ‐かん〔‐クワン〕【外官】

律令制で、地方官総称国司郡司など。⇔内官

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「外官」の意味・読み・例文・類語

げ‐かん‥クヮン【外官】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で、在京しない官職の総称。国司など。⇔京官。〔令義解(718)〕
  3. 勘合船経営者委任を受けて明に渡った商人
    1. [初出の実例]「此外官并従には有徳之商人を成か秘事也」(出典:大乗院寺社雑事記‐文明一五年(1483)正月二四日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「外官」の意味・わかりやすい解説

外官 (げかん)

律令の官職のうち国司・郡司などの地方官をいう。在京諸司京官または内官というのに対する。令には,新任の際の給粮,勤務時間,勤務年限,親属・賓客饗応の禁止など,勤務形態について種々の規定がある。封禄としては,季禄(きろく)がない代りに公廨稲(くがいとう)が給されたが,国司が私腹を肥やす弊害を生じたので,757年(天平宝字1)その配分法が定められた。しかし経済的な待遇は,京官よりもはるかに有利であった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「外官」の意味・わかりやすい解説

外官
げかん

律令(りつりょう)制下の官職の区分の一つ。養老(ようろう)令の公式(くしき)令によれば、「在京諸司」を京官というのに対し、大宰府(だざいふ)・国・郡・軍団など、在京しない諸司の官を外官という。京官と比較した場合、とくに経済上の待遇に大きな相違がある。すなわち京官には、その官職に相当する位階に応じて、2月・8月に季禄(きろく)が支給されるが、外官は大宰府・壱岐(いき)・対馬(つしま)の官人のほかは季禄がない。また大宰府の官人および国司・郡司はその官職に応じて職分田(しきぶんでん)が給せられることなどが定められている。

[吉岡眞之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「外官」の解説

外官
げかん

在京諸司の京官に対して,大宰府と諸国の国司・郡司・軍団をいう。奈良時代に一時期おかれた和泉監(いずみのげん)・芳野監も外官に含まれ,大宝令ではこの在外監司を条文中に想定していた。京官には詔が太政官符をそえて発給されるのに対し,外官には弁官・八省を通じた騰詔符(とうしょうふ)が発給されるなど,政府の統制方法も京官と外官とでは異なっていた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外官」の意味・わかりやすい解説

外官
げかん

奈良,平安時代の国司,郡司などの地方官。在京の官人を京官,内官というのに対する言葉。地位は一般に内官より低かったが,経済的には公廨稲 (くがいとう) や職田 (しきでん) などの上で,はるかに優位にあった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の外官の言及

【数】より

…中国人は地上における空間分割をまた天に投影して天を区分したのである。前2世紀ころの漢代では,天は北極を中心に,そこからの距離が36度の圏内にある決して沈まない星座を中官(ないしは中宮),その外側を囲み季節によって見え隠れする星座を外官(外宮)とし,外官をさらに四分割するのである。《史記》の東宮,南宮,西宮,北宮,のちの東方宿,南方宿,西方宿,北方宿がそれである。…

※「外官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android